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ゆっくり風呂に入って、惣菜を盛り付けただけの飯を食って、次の日鍵を握り離れた男を横目にそれなりの給料をお渡しした。こんなにも近くで取り引きしてるなんて、思わないだろうな、
「和輝の親、優しいな」
助手席の男が告げた。嘘だとは表情で分かる。慣れない道をガソリンが続く限り走る
適当な会話を続けて居ると助手席で涙を流している、この涙は" 冤罪に巻き込まれたヒーロー "の為に流された涙であって" 猟奇殺人を犯した男 "の為ではない。
此奴にとって、和輝はヒーロー以外なかっただろう。けれど俺にとっては兄であり、ヒーローであり、唯一無二だった、それが無くなった今でさえ俺は和輝を愛している。でも此奴は" 偽者 "なんて気付かない儘
「そろそろガソリンもないだろ、人気ない所に行こ」
そう言って車を走らせた、来た事もない奈良の家も人気も少ない所に車を停め、適当に歩いた
「じゃあ、気を付けろよ。」
最後の忠告だ。
俺達は二手に別れて歩き出した、角を曲がり、電話を掛ける
「おい。次は、間違うなよ。」
電話口で震えた声が響く、漸く死ぬ。心臓が高鳴る、ブロック塀に凭れて心臓に手を当てれば今まで感じたことの無い、ときめき、を感じていた
その後は車に戻った。この車はもっと山奥で捨てなければならない。ガソリンが切れたなんて嘘、悠々と走らせて近辺を見て回った。そして夜、男は来た
「お疲れ様」
「..殺った、はず」
「ありがとう、じゃあぶらっとしようか」
震えていた、滑稽な程に。男は一度しくじった、意味深な発言で、俺を挑発した。だからもう一度だけチャンスをあげた。
「なんで..彼奴、殺したんだよ」
「え、なんでって。知らない?失敗した癖に金だけ要求してさ、もう君達逃げられないよって言ったらスタンガン向けて来るんだもん..、しくじった癖に、ね?」
もう一人、佐々木真佑を攫う役目だった男はこの車のトランクで寝ている。家に帰った夜中、電話が来た、普段は取らないがその日は偶々取ってしまった
話がある、という言葉に何かを察してしまった。家の庭に呼び出して話をすると、
「俺は十分遣ったろ。早く、金渡せよ」
「何をしたの?成果も無いのに、都合が良すぎるでしょ」
「警察にチクッてもいいんだぞ..」
「言えるの?片足突っ込んでる癖にさ」
徐々に追い詰められていた様で表情が歪む。元々は真面目くん。ちょっとした悪さ、なんて出来なかった様で私でいたスタンガンを振り回して来たからとりあえず、とお腹を刺した、直ぐによろめいて、刺された腹部を見るなり叫び出した。
流石に衝動的になっちゃって、庭に並べられた煉瓦を片手に何度か頭を殴っていた。気付けば血塗れ。偽両親を呼び、トランクに詰めて貰った、その事をこの男は聞いていたのか
「上手く行ったら、逃がしてくれ」
「勿論、上手く、死んでたら」
助手席で必死に神に願っているだろう、死んでいてくれ、と。それは俺も同じだ、違うのは、感情。
24時間営業の店に来た、なんでもある、服が欲しかった。万札を二枚渡して服を買って来させた。逃げない理由は至極単純、包丁を素手で触れていた、その包丁を持ち帰っていた、血のついた包丁が道に落ちていたら如何だ。警察が来る。拭き取ってない指紋を調べられ、悪事がバレる。此奴の家は良かった、だから避けたい。だから逃げない。
「ありがとう」
礼はするよ。お互い様だから。けれど、状況が一変したのは次の日の夕方。ラジオから流れる報道
" 昨日深夜に見付かった腰を刺された男性ですが容態は回復傾向にあり、警察も現場検証を進めています。男性は携帯や財布など、身分証明書を持ち合わせていなかった為警察は身柄も確認中と言うことでした "
神に願いは通じなかった。腹が立つ。隣では恐怖に震える男
「二度もしくじったね、使えない、」
「使えるわけないだろ、俺は..っ、人を殺したかったわけじゃない!」
「金に目が眩んだだけのクソが、今更な事吐かすなよ」
瞬間、車から降りて走っていった。だから一発引いてやった。死にはしないだろう、死んでも俺には如何でもいいが。
「はぁ..なんで、上手く死なねぇんだろ」
心からの言葉
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