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そんな計算をしてしまう自分が情けなく思えたが、金がないという現実はどうにもならない。
ここまで世話になったのだから、あと少し世話になっても同じようなものかもしれない。
働き口さえ決まれば、返していけるのだ…
(…それまでのことだ…)
私はそんな都合の良い話を自分に言い聞かせた。
一緒に旅に出ると決まってから、彼女の様子は一変した。
今までに見せたことのない笑顔を見せるようになった。
旅立つまで出来るだけたくさんの薬草を採っておきたいと彼女が言うので、次の日は朝から二人で薬草を集めた。
とはいえ、私にはどれが雑草でどれが役に立つ草なのかの見分けはつかない。
私に出来たのは、せいぜいが集めた薬草を運ぶだけのことだった。
彼女はその夜も遅くまで薬の調合をしていたようだった。
夢心地に、薬草をすり潰すゴリゴリという音を聞いたような気がした。
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