003 : 地図を広げて

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「お優しい方だったのですね… だが、その人と一緒に暮らされていたからあなたは村の人達に…」 「いいえ…! それは誤解です! ……むしろ、私のせいでおばあさんは…」 「あなたのせいで……?」 「…これ以上のことは…どうかご勘弁下さい…」 「いえ…私の方こそ… 申し訳ありません…」 「…いつかまた…」 「…え…?」 「…いつか、時期がくれば、また、お話しますわ… ……あら!! もうこんなに暗くなって… どうしましょう?灯りもないのに…」 「本当だ…いつの間に… 真っ暗になる前に出来るだけ進んでみましょう。」 「そうですね。 急ぎましょう…!」 私達は早足で歩を進めた。 しばらくして、あたりの景色が見えにくくなって来た頃、少し離れた所に町らしき灯りが見えた。 「あそこに灯りが…!」 「もうじきですね! あそこまでならどうにかたどり着けるでしょう。」 * そこはこじんまりした町だった。 小さな宿屋もあった。 私達はその夜はその町に泊まることにした。 粗末とはいえ、こうして食事を採れベッドで眠れるのもクロワのおかげだ。 一人で出てきていたら、今頃は空腹を抱えて野宿していたことだろう。 本当にクロワには世話になりっぱなしだ… (…そういえば…) 私は夕刻の事を思い出していた。 町の人からつまはじきにされていたことについて、彼女はその原因はおばあさんのせいではなく、むしろ、自分のせいだと言っていた。 それは、一体どういうことなのだろう…? 彼女にはどんな過去があるというのか… 今はまだそのことについては教えてはもらえないだろう。 いつか、わかる日が来るのだろうか… その時まで、私達は一緒に旅を続けているのだろうか… そして、その頃には… 私の記憶は戻っているのだろうか…? 漠然とそんなことを考えながら、私はいつの間にか眠りに就いていた。
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