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「お優しい方だったのですね…
だが、その人と一緒に暮らされていたからあなたは村の人達に…」
「いいえ…!
それは誤解です!
……むしろ、私のせいでおばあさんは…」
「あなたのせいで……?」
「…これ以上のことは…どうかご勘弁下さい…」
「いえ…私の方こそ…
申し訳ありません…」
「…いつかまた…」
「…え…?」
「…いつか、時期がくれば、また、お話しますわ…
……あら!!
もうこんなに暗くなって…
どうしましょう?灯りもないのに…」
「本当だ…いつの間に…
真っ暗になる前に出来るだけ進んでみましょう。」
「そうですね。
急ぎましょう…!」
私達は早足で歩を進めた。
しばらくして、あたりの景色が見えにくくなって来た頃、少し離れた所に町らしき灯りが見えた。
「あそこに灯りが…!」
「もうじきですね!
あそこまでならどうにかたどり着けるでしょう。」
*
そこはこじんまりした町だった。
小さな宿屋もあった。
私達はその夜はその町に泊まることにした。
粗末とはいえ、こうして食事を採れベッドで眠れるのもクロワのおかげだ。
一人で出てきていたら、今頃は空腹を抱えて野宿していたことだろう。
本当にクロワには世話になりっぱなしだ…
(…そういえば…)
私は夕刻の事を思い出していた。
町の人からつまはじきにされていたことについて、彼女はその原因はおばあさんのせいではなく、むしろ、自分のせいだと言っていた。
それは、一体どういうことなのだろう…?
彼女にはどんな過去があるというのか…
今はまだそのことについては教えてはもらえないだろう。
いつか、わかる日が来るのだろうか…
その時まで、私達は一緒に旅を続けているのだろうか…
そして、その頃には…
私の記憶は戻っているのだろうか…?
漠然とそんなことを考えながら、私はいつの間にか眠りに就いていた。
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