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誓いの丘は、隣町からさらに少し行った所にあった。
私達は、隣町に宿をとり、夕食を採った後、しばらくしてから誓いの丘を目指した。
「確か、こっちだって言ってたよな。」
「意外と町からも離れてますね。
本当にわざわざそんな所まで行く人はいるんでしょうか?」
そんなことを話ながら歩いていると、何組かのカップルとすれ違った。
「やっぱり行く人達はけっこういるんですね。」
「もう少し遅くに出て来ても良い位だったな。」
「さっきから出会うのは帰る人ばかりだから、私達が着く頃には、ほとんどいなくなってるんじゃないか?」
そこからさらに歩いていくと、ようやく丘が見えて来た。
緩やかな斜面を上って行くと、やっと私達は拓けた場所に出た。
「ここだな!やっと着いたか。
けっこう遠かったな!」
「誰もいなくてちょうど良かったな。」
「もうこんな時間ですからね。
それにしても、何の変哲もない丘ですね…
ここでどっちを向いてどう誓えば良いのでしょうか?」
「先生、そういうことはどうだって良いんだ。
自分の気持ちを星の神様に伝えたいと思うことが重要なんじゃないか? 」
「そうはいっても目標がないとやりにくいかもしれませんね。
月に向かって祈るのはいかがですか?」
「そうだな!それは良いかもしれないな。
あれ?でも、伝説じゃ星の神様って言ってたよな?
…まぁ、いいか。月も星も同じようなもんだもんな。
じゃあ、まずは俺からだ!
俺は、必ず、海底神殿をみつけるぞ!!
みつかるまで絶対に諦めないことを誓う!!
だから、星の神様も月の神様もどうかよろしく頼むぜ!!」
リュックは両手を広げ、大きな声で天に向かってそう叫んだ。
「では…僕は…
一生、クロワさんを愛することを誓いましょう!
どうか、クロワさんに僕の気持ちが伝わりますように…!」
クロワは、その言葉に表情も変えず、黙っていた。
残念ながら、クロードの恋は前途多難のようだ。
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