19人が本棚に入れています
本棚に追加
「神様、私は、一生、誰かの役に立てるように頑張ります。
もっと、薬草のことを勉強してたくさんの人を救いたいのです。」
クロワは両手を組んでそう呟き、一心に祈っていた。
「さすがはクロワさんだな。
俺や先生とは違って立派だな!
あとは、マルタン、あんた一人だ。
あんたは、なにを誓うんだ?!」
「私は……私の誓いは秘密だ。」
「なんだよ、ずるいぞ!
なぁ、マルタン、何を誓うのか教えてくれよ!」
「リュック、マルタンさんが言いたくないっておっしゃってるんだから、それで良いじゃないの…」
「でも…」
「じゃあ、僕達は一足お先に帰ってましょうか。」
「え…でも…マルタン、一人で大丈夫か?」
「あぁ、私なら大丈夫だ。
それに、途中で追いつけるようにすぐに行くから…」
「そうか、じゃあ、気を付けてな!」
三人を見送った後、私はその場に膝を付き十字を切った。
手許にロザリオがないことがひどく寂しく感じられる。
久しぶりに、神への祈りを捧げ、そして、誓いの言葉を口にした。
「私は、あの者からクロワさんを守り抜くことをここに誓います。
私は、我が子ミシェルの命を救いたい一心で、一時はクロワさんを手にかけようとしてしまいました。
どんな理由があったにせよ、とても許される事ではありません。
皮肉なことに、私はそのクロワさんに命を救われました。
その贖罪や恩返しというわけではありませんが、私は、クロワさんを一生守ります。
私の命をかけても必ず…!」
『……な~るほど!そういうことだったのか…』
「リュック!!」
振り向くとそこにはリュックが微笑みながら立っていた。
「すまないな!でも、俺、どうしても、あんたの誓いが知りたくてさ!」
「……そうか…聞かれてしまったのなら仕方ないが……クロワさん達は?」
「あぁ、それなら大丈夫だ。
あの二人なら先に行ってる。」
「そうか…なら、よかった…」
「星の神様!もう一つ追加だ!
俺も、マルタンと一緒にクロワさんを守る!」
「リュック、それは私の役目だ。」
「良いじゃないか。
俺だってそうしたいんだから…」
最初のコメントを投稿しよう!