春の訪れに肩こり

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春の訪れに肩こり

ある春の木漏れ日が差し込む祠の屋根で今日も私はゆったりと過ごす。いつもと変わらない..と言いたいところだがのようだ。きょろきょろきょろきょろと当たりを見渡して祠があることに気づいた。あれは、女性のようだな..ふむふむ20代半ばといったところか、白のスカートが良く似合うな〜。などと、世に言うセクハラ発言を難無く言っているうちに彼女は祠の前まで来た。さすがに私には気づかないであろう。なんせ神だ、人に見えてたまるか。祠の目の前で彼女は手を合わせ願いを祈っている。私はこれを聞き入れなければいけないため彼女の心を覗くのだ。なになに..「どうかお父さんの病気が治りますように。花神様(はながみさま)お願いします」ふむふむ..これくらいは何とかなるだろう。この花を彼女に送ろう。私は懐から扇を出し優美にそれを踊らせる。ひらりひらりと花弁のように、春風を感じさせるような..するとたちまち扇の端からふわりと黄色の花弁が落ちていく。扇の表面に息をふっ..と吹きかける。途端に、風に乗ってふわっと黄色いマリーゴールドが現れた。これは「健康」という花言葉を持っている。それを彼女の目の前に送るとびっくりして尻もちを着いてしまった。微笑ましいな〜。彼女は慌てて花を受け取り「花神様、ありがとうございます!!」とニッコリと満面の笑みで帰っていった。これが私の神としての仕事だ。あの花にはちょっとした神の御加護が入ってる。彼女は最初からこの花を受け取るためにここに来た。といっても、困っている人を助けるのは当たり前と神々も言いたいだろうが正直無理な話だ。所詮は神と言ったところ...人と同じだ。人を見て判断する。助けるか助けないかはその人間の日々の所業しだいだ。彼女は日々の所業で徳を積んでいたから花を送った。それにこの私が住んでいる所は少し神の領域に近い、だから悪人は絶対に入って来れないし余程私を求めている人にしか入れない。しかもこの領域は日々移転する。東京に行ったり北海道に行ったりと日本を転々としているのだ。なかなか見つけれない。だからさっきのお客さんは久しぶりすぎて少し腕がなった。ふぅ〜少し老人にでもなりすぎたか。それとも暇...仕事をしすぎたせいか、久しぶりすぎて実は言うとやり方を間違えるところだった。いやー面目ない。ははっ、平和ボケとはこのことを言うのかもな..今じじぃじゃんって思ったやつは.....
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