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僕と美沙はそれぞれ風呂に行った。温泉ではなかったが、広いお風呂は気持ちよかった。浴衣とどてらを着てテーブルに二人で向かい合うと、何だか照れくさい。
部屋食だった。海の幸満載の料理が来た。
僕はビールを注文し、美沙は熱燗を注文した。
舌鼓を打ちながら、僕らは楽しい夕食を食べた。
話題は、昼間のネモフィラの素晴らしさ。同じような言葉を連ねて、語り合った。
「明日も行こうね。あと、観覧車もあるから、のろうよ」
「いいね」
一杯入って、上機嫌になってきた。でも、心の中で、少し冷めたところがあるのを僕は自覚していた。この楽しいときが過ぎたら、またあの会社に戻らなければならない。それは暗い谷底に向かうような気分だった。
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