17人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
僕は彼女の美沙にちょっとした小旅行に誘われた。
ネモフィラの花が見たいという。
「ネモフィラ? なんだそれ」
僕は花の名前など知らない。
「空みたいなきれいな青い花。花が光って見えるんだよ。行こうよ」
美沙は一見童顔でおとなしそうに見えるが、案外頑固である。言い出したら聞かない。
「いいよ。いつにしようか」
「ほんと? やった」
美沙はぱっと笑って、アイスコーヒーをストローで吸い上げた。そのしぐさも愛らしい。まあ、いいか。美沙が喜ぶなら、なんだってつきあってやるよ。
そういいながら、僕自身も気分転換を望んでいたのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!