第一章 乙女、森野熊さんに出会う

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私だって真奈美のように身長が160以下が良かったなぁ。 「で、熊さんは?」 過去の面倒な思い出を振り返りながら悲しみに暮れている私の心中に気づくことも無く、真奈美は屈託の無い笑みで聞いてきた。 「まだ寝てるよ、昨日も帰りが遅かったから」 「大変だねぇ。でも乙女の手作り弁当食べられるのはジェラシー」 「はいはい」 教室に入り、クラスメイト、特に女子ばかりと挨拶しながら机の上に鞄とお弁当の入った袋を置けば、前の席の真奈美が心底羨ましそうに私のお弁当を見てくる。 手作りと言っても、特売で買いためた冷凍食品が占める割合は大きいのだが。
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