7人が本棚に入れています
本棚に追加
炬燵で暖を取ってから寝ようというのは、やはり良くないな…
そう思いながら、階下にあるトイレに向かう。
とくに行きたいわけじゃない。
ただでさえ深夜に目が覚めているのだから、
これ以上余計なことで目を覚ましたくないだけ。
我慢していたわけでもないのに、座ると出るから不思議だ。
トイレの扉の横にある洗面台。
電気はトイレに入るときに一緒に点けたはずなのに、
わずか半畳ほどの空間には暗闇が広がっている。
寝ぼけたのだろうか、点けなおすのも億劫でそのまま蛇口を探す。
冷たい水が手指の感覚を奪い、眠気を追いやってしまった。
春先とはいえ、夜はまだ寒い。
もういちど炬燵で暖まりたい衝動を堪えながら、身を縮こませて階段を上る。
半分ほど上ったとき、水が流れ落ちる音が聞こえる。
ピチャピチャと跳ねる音は、
蛇口から空気を含んで落ちる水の音に違いなかった。
最初のコメントを投稿しよう!