ぴちゃぴちゃ

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洗面台も年季が入っているし、蛇口も強く締めないと止まらない。 ただでさえ冷え性のわたしの力では、締め込みが足りなかったのだろう。 何より水の音というのは案外気になるものだ。 すでに眠気も覚めてきたわたしは、 現実的に水道代がもったいないなんてことを考えながら、 再び洗面台に向かった。 洗面所の電気はやはり点かなかった。 スイッチを何度か押してみたものの、反応は無かった。 今どき見ない裸電球なのだから、おそらく球切れなのだろう。 とはいえすでに階段の明るい光に目が慣れてしまっていて、 妙に暗く、深い闇のように見えていた。 勝手知ったる我が家のこと。 別にどうということはなかったのだが、 締め込もうと蛇口を握った時、わたしは違和感を感じた。
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