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「ここは凄く、俺を欲しそうにウズウズしているよね。違う」
「み、美馬さん狡いです! 私の気持ちイイ所全部知ってて、そこばっかり攻めるなんてっ」
「当然でしょ、俺が愛でる為に気持ちイイ所を教え込んだんだから」
貴方は何も無かったように当たり前の如く私を囲い続けた。少し意地悪な表情をして。ショーツ越しに何度も円を描きながら、布から滲み出る蜜をかき混ぜる。
「んっんふぅ、ん、ぁん」
弱い刺激、歯がゆい快感。零れさすまいと意固地になる程漏れる声は湿りて、蜜は音をなす。まさに私が限界値を彷徨っている中、貴方は牙を剥くのだ。極めて毒々しく、限りなくいやらしく、鋭い刃先を光らせて。
「お前が一番よく知ってるでしょ、俺なしでは飛べないってこと」
「っ──ぁふ……っ」
何がどう転がっても私は美馬さんしか愛せないと言う事なのか、はたまたこのカラダは美馬さんでなければ満足出来ないと言う意味なのか。いいえ、どちらともなんだろうけれども。
指が辿る心地よさより、触れ合う行為より、私を自分のモノのように扱ってくれる傲慢さに涙も蜜も溢れた。
「美馬さあん?」
「うん?」
「指で直接、して?」
「何、もうおねだりしちゃうの」
きっとね、ほんとはね。わざわざ事務所に来てくれて、しかも絶望感から救ってくれて、思い切り泣かせてくれる唯一の存在がとてもとても愛しかったんだ。ただ傷つくのを恐れて素直になれないだけで。
「愛してる」とか「だから私とどうしてくれる」だとか、毎度の事ながらそれがない。だとしても悲しい事に、エサのお時間になると尻尾を振るわんこもとい愛人本能は絶対なのだ。
「だって、美馬さんに触れられるの、キモチ、んっ、冷たッ……」
ただそれすら遮ってしまうものがあるとしたならば、蜜まみれのそこに触れた、温度なき固いもの。我に返るまで一瞬もかからなかった。
──その指輪をしたまま、私を抱くのですか……?
「っ──こんなことして、美馬さんはっこの片割れの持ち主に罪悪感とかないんですか?」
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