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「そんなに似てる? 僕と刹那」
「あ、いえ全然全然これっぽっちも! 雄志さんのアレコレには愛がありますし、存在自体が罪な美馬さんとは大違っ」
「よく喋るね刹那の事となると──、さぁ行こうか。今日はまだ仕事が残ってるんだろう」
雄志さんは私を責めたりしない、この胸につっかえてる未練さえ包み含み、目にも留まらぬスマートさで伝票ケースを手に取りお会計しちゃってる。
「あぁぁあああ、雄志さん待って私が払いたい! そして領収書下さい、日付ブランクで!」
「瀬奈~こういうのは男がもつものでしょ」
「だってウチみたいな小さな会社なら交際費も経費に出来るし、いつもご馳走になってばかりなんだもん」
「そう。ならはい、領収書だけ」
「……今日もゴチになります!」
「無い物ねだり」
貴方にないものを持った雄志さんに着いて行こうと決めたんです。愛撫だけが巧みな男を手離して、愛すより愛される女になりたくて。
『俺を超える男見つかった?』
だから美馬さん。お願いですから貴方しか見えない世界に私を閉じ込めないで下さい──。
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