【第1部-魅了-】夜のイタズラ

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「にしても知れた顔同士で何をおっ始めたかと思えば、残念すぎるマグロオンナ黒崎」  思い切りキレちゃいたい、とは言え美馬部長はランク違いの上司。とりあえずペコリとお辞儀をしてお隣にお邪魔する。嘲笑されても仕方ない、残念要素は私にあるらしいのだし。 「こんな場でヤった気になんないとか言われて恥かかされて、悔しくないの?」 「リピートしないで下さいっ悔しいですよ? もちろん」  話には聞いた事あるけどまさか自分がソレだとは思わなかった。  ──女として激しく撃沈だよ妹尾さん。 「マグロの心当たりは? あるならどうにかしたいと思わない?」 「確かに積極的ではなかったと思います。でも妹尾さんどうの前に〝気持ちいい〟に集中出来ないっていうか。気付かされたからにはどうにかしなきゃとは思うんですけど」  床下手だなんて初めて言われたんだもん、実感はないもののまた次の彼氏に言われるのは御免だ。 「俺とゲームしようか、黒崎」 「ゲーム?」  私の名字はアネゴから聞いたのかな? 家族付き合いの延長で今もたまに連絡取り合う関係らしいから。  妙に頷きつつ眺める美馬部長は謙虚な色男。今時黒縁メガネ? と幻滅する所がそれによってやけに色気が増してる。賢そうで仕事もデキて来る女拒まず、となれば何の不自由もしていないに違いない。マグロには到底見えないワールドが広がっていることだろう。 「奥の個室にダーツあるの知ってた? お互いの欲しいモノを賭けて俺と勝負しよう」 「欲しいモノ? 美馬部長でも欲しいモノがあるのです、か?」 「あるよ?」
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