5514人が本棚に入れています
本棚に追加
「にしても知れた顔同士で何をおっ始めたかと思えば、残念すぎるマグロオンナ黒崎」
思い切りキレちゃいたい、とは言え美馬部長はランク違いの上司。とりあえずペコリとお辞儀をしてお隣にお邪魔する。嘲笑されても仕方ない、残念要素は私にあるらしいのだし。
「こんな場でヤった気になんないとか言われて恥かかされて、悔しくないの?」
「リピートしないで下さいっ悔しいですよ? もちろん」
話には聞いた事あるけどまさか自分がソレだとは思わなかった。
──女として激しく撃沈だよ妹尾さん。
「マグロの心当たりは? あるならどうにかしたいと思わない?」
「確かに積極的ではなかったと思います。でも妹尾さんどうの前に〝気持ちいい〟に集中出来ないっていうか。気付かされたからにはどうにかしなきゃとは思うんですけど」
床下手だなんて初めて言われたんだもん、実感はないもののまた次の彼氏に言われるのは御免だ。
「俺とゲームしようか、黒崎」
「ゲーム?」
私の名字はアネゴから聞いたのかな? 家族付き合いの延長で今もたまに連絡取り合う関係らしいから。
妙に頷きつつ眺める美馬部長は謙虚な色男。今時黒縁メガネ? と幻滅する所がそれによってやけに色気が増してる。賢そうで仕事もデキて来る女拒まず、となれば何の不自由もしていないに違いない。マグロには到底見えないワールドが広がっていることだろう。
「奥の個室にダーツあるの知ってた? お互いの欲しいモノを賭けて俺と勝負しよう」
「欲しいモノ? 美馬部長でも欲しいモノがあるのです、か?」
「あるよ?」
最初のコメントを投稿しよう!