【第1部-魅了-】夜のイタズラ

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 案内された先はカラオケルーム的な個室。ダーツゲーム2台の脇にふかふかソファがあっても、ダーツを握ってしまえば座っていられない。  捲ったワイシャツから覗いた腕が意外と筋肉質だという事さえ目に留まらない。 「1ラウンド3投(ワンスロー)で1勝負、カウントアップは1ゲーム8ラウンドだから全部負けたら8杯飲む事になるよ、大丈夫?」 「私ダーツではどんなイカチイオトコにも負けた事ないの!」 「そう。なら早速黒崎のお手前拝見といこうか」  お腹はたぷたぷになるけどスクリュードライバー8杯なら余裕だもん、巷では見られない8ラウンド900点台の強敵だもん私、大丈夫──のはずだった。 「180対134、はい黒崎の負けー」  ──いきなりど真ん中3本、満点!?  ううんマグレだよ、満点なんてプロでも難しいもの、とりあえず1杯飲んで次いってみよ。 「180対170、惜しい、負けー」  ──嘘でしょう、うますぎますが!!  そうして早くも次がラストの8ラウンド。ここまで全部負けてる、オール満点出されてる。 「どうしたの? 1回でも勝てたら教えてあげれるんだから、頑張れ」 「でもー」  気落ちしているうちにも既に腰が抜けて立てなくなっていて。ペタンコ座った所を抱き起こされたりなんかすると視界がフラフラする。 「うん、ほどよく酔ってるね。スピリタス・ダブルのオレジュー割りだから効くでしょ」  ──原液アルコール度数96度のスピリタス(ウォッカの一種)?  そんなの1杯で酔うに決まってるよ、7杯飲めばベロベロになるの当たり前だよ。  ──こんなに酔わせてどうしたいの?
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