プロローグ〔青瞬(せいしゅん)〕

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 彼女は華奢な腕で力強く俺を抱きしめる。その瞳には幻想的な輝きを放つ雫が今にも溢れそうになっていた。  何も言わず彼女は強く抱き締める。    ―好きだ。  俺がもう一度、今度は敬語を使わずに言ってみた。俺の想いをただただまっすぐ彼女の耳元で伝えた。  彼女は顔をあげ、濁りのない瞳で俺を見つめ、何も言わずに精一杯笑った。  眩しすぎる彼女の笑顔が俺の鼻のわずか数センチ先にある。彼女の体温が伝わってくるような気がする。あれだけ離れていた憧れの存在が今こんなにも近くにいる。そんな夢のような状況に俺は胸の鼓動が高鳴る一方だった。 34c044f7-f715-4fad-be24-6d5c1f564392 ―――――――――――――――――  ―総員、作戦開始。  彼の一言でメンバーは慌ただしくなる。  ―狙撃手α(アルファ)、打ち方用意。  ―とっくにできてるぜ、コマンダー。  先程の焦り様から一転、α(アルファ)が奮起し始める。  ―β(ベータ)、Δ(デルタ)。各員ユビタノス起動、確保準備。  ―りょかいっ!  ―了解。  ―ε(イプシロン)、映像記録はできてるか?  ―問題ないわ。  ―よし、上出来だな。
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