プロローグ〔青瞬(せいしゅん)〕

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プロローグ〔青瞬(せいしゅん)〕

99731423-8cad-4ee8-9641-e511d016e1ac 92c5930c-80ee-45aa-bceb-2c70d692b0da ―2020年10月24日 16時28分  人通りの少ない学校の旧校舎裏。  雑木林のざわめきとどこか遠くの運動部が練習しているかけ声だけがかすかに聞こえてくる。  夏を越したこの時期は比較的涼しげな空気を風が運んでくる。  そんな場所に今日俺は呼び出された。  下駄箱にあった可愛げのある封筒に入った手紙の健気に書かれた呼び出しの文字に少なからず俺は心を躍らされていた。  ―告白だろう…。  生まれて初めて抱く期待はどこか新鮮味があって、心が弾んだ。  速足で、しかし周りに感づかれないように平穏を装いながら目的地へと向かう。  外へ出て人気がないことを確認すると、学祭などの準備でしかほとんど使われない旧校舎の裏へと回った。 72f84c25-5708-499d-b045-bacd175da45b  そこに一人、少女が立っていた。  すぐに分かった。片桐さんだ。―片桐りな。
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