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「知ってる?私達……花咲き病の病が進行する一つの理由を」
「進行……する、原因?」
「うん。でも、それを言ったら私達、多分友達でいられなくなっちゃう」
どうしてと、その言葉を言う前に君は咲いたばかりのその真っ赤な菊の花を手折った。
そしてその菊を愛おしむようにして見つめ、俺の前に突き出してきた。
受け取るかどうか迷っていると、君が俺の手を取ってその花を持たせた。
「この花……大丈夫なの?」
「取ったとしても痛覚はないよ。不思議だよね」
そう言って再び歩き出す君の手を、今度は俺が取った。
少しだけ驚いた顔をする君の目をじっと見つめて、堪えきれない感情を吐き出した。
「君をもっと知りたい」
「……それはできない、かな」
「どうして?」
寂しそうに呟いた君に、すぐさまそう問うけど君は下唇を噛み締めて何かを堪えるような仕草を見せた。
締め付けられていく心が、理性を保とうとしない。
このまま君を壊したら、君はどんな反応をする?
君の全部を俺のものに出来たら、綺麗だと思う全てを独り占めできるのに。
我慢できない、そう心の奥の自分が暴れだそうとしたその時。
しっとりとした花の感覚が手に広がっていった。
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