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その感覚に理性を取り戻した俺は、しっかりと君を見つめ続けた。
すると、少しだけ震えた声で君が言う。
「その花が……答え、なんだよ……」
「え……?」
「その赤い菊が、答えなの……」
手元に感じるしっとりとしたその菊の見ると、キラキラと夕日の光を浴びながら輝いていた。
そして、再び君を見れば少しだけーー顔が赤く染まっている。
どうしてなのか分からないけど、そんな君の姿に俺の心臓までも早く脈打つ。
「どういう、こと……?」
「……その花の」
彼女がゆっくりと言葉を紡ぎ出すと、少しずつ彼女が咲かせる花達が成長して花を咲かせていく。
「ーー花言葉は『あなたを愛しています』」
君が最後までそう言うと、涙目になりながら俺を見つめた。
もう理性なんてものは、俺自身で捨て去った。
彼女の手を引いて強く抱きしめ、そっと赤く染まったその顔の唇を奪った。
何度も何度も、俺は彼女を感じたくて唇を合わせた。
唇が離れるそのタイミングで俺の名前を呼ぶ君に、少しだけ猶予を与えるかのように唇を離した。
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