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じっと君を見つめると、君は戸惑いの表情を見せながらも俺の目を見ていた。
「ど、どうして……桐生くん」
「君が好きだから、それだけじゃ足りない?」
「そ、そうじゃなくて……なんで私なんか」
「とても簡単に……君に心を奪われた、哀れな男だと思えばいい。君のことが知りたい、もっと傍にいたい。全部全部俺のものにしたい」
そう言い捨てるように吐き出して、また君の唇を奪った。
何度かキスをして震える君を強く抱きしめて、君の顔で咲く花々を愛でた。
「そ、そんな……こんな私なんかと一緒に居たら、きっと後悔するよ?」
「どうしてそう言いきれるの?」
「最初に質問してきた答え……それはね?」
そっと震えながら俺の耳元でこう囁いた。
「私ね笑うと花が咲いて……すぐにこう、バレちゃうの」
「え?」
「だからっ……桐生くんと一緒に居ると、たくさん笑って好きって気持ちがバレちゃうの。花が咲いては……その繰り返しだかーー」
だから、そう言い切る前にもう一度俺は君の唇を奪った。
そして俺は遠慮なく笑ってやった。
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