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「はははっそんな理由だったの?」
「人の苦労も知らないで、そんな事言わないでよ……!こっちは必死だったんだから!」
「でも病気の進行ってまさか、それ……?」
「うん。ただ、笑わないで生きるよりも、私……桐生くんと一緒に笑って生活したい。駄目……かな?」
俯きながらそう言う君に、俺は全力で抱きしめて抱き上げた。
小さく悲鳴を上げる君に、俺は笑いかけながらハッキリとこう言った。
「なら、俺の隣でずっと一緒に笑ってください」
「……!」
顔を赤らめて嬉しそうな顔をする君の頭に、また一つ綺麗な花が咲き誇る。
いくつもいくつも花は咲き、君は恥ずかしそうに両目を閉じた。
ああ……なんて綺麗で可憐な花なんだろう。
美しさと愛らしさを備えた、この大切な花を誰かに手折られてたまるものか。
「駄目、かな?」
「……こちらこそ、よろしくお願いします」
そう答えた君の額にそっとキスを落とした。
しっとりとしたその花の感覚と共に、君の体温を感じる。
これからは俺の隣で、どうかその綺麗な花々を俺だけに見せて。
とびきりの君の笑顔を、俺が作ると誓うから。
だから、どうか心の奥底から笑っていてください。
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