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「きゃん!きゃん!きゃん!きゃん!」
「しーっ!アン、静かに!」
昌太は、そっと足元にじゃれる飼い犬のアンにリードを付けた。
「そっとだよ・・・そっとだよ・・・」
ぎぃ・・・ばたん。
「外出自粛でも、散歩はいいよね。『3密』さえ守ればね。」
やっと外に出られてはしゃいぐアンにリードを引かれて、昌太は家族に内緒に散歩に出かけた。
たっ、たっ、たっ、たっ、
緊急事態宣言下の通りは人も疎らで、ただ昌太の足音とアンの「はっ!はっ!はっ!はっ!」と息遣いしか聞こえなかった。
たっ、たっ、たっ、たっ、
自粛疲れの親子が遊ぶ公園を抜け、河原の土手に出た。
土手には、色とりどりの花畑が拡がっていた。
「もし、家に籠ってたらこんな綺麗な光景は見られなかったな。
なあ、アン!!」
「きゃん!」
河原の土手にの道にも、マラソン人が1人見かけただけで何時もと比べて閑散としていた。
「ん?」
昌太は、花畑の中に1輪の可憐な花を見つけた。
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