1#この花の花言葉は・・・

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 「きゃん!!きゃん!!きゃん!!きゃん!!」  この美しい1輪の花に、飼い犬のアンも興奮ぎみに吠えたてた。  「アン、噛んじゃめでしょ!!」  「くうん。」  ・・・この花は・・・  昌太の見つけた花は、白いガーベラだった。  「確か・・・ガーベラの花言葉は・・・植物図鑑で見たよな・・・えっと・・・  『希望』  ・・・『希望』だ!!」  その時、昌太の心に熱いものがこみあがってきた。  昌太は、何本もガーベラの花を摘んで家に持ち帰った。  ・・・『希望』・・・  ・・・そうだ・・・!!  ・・・父は良く僕に言っていた・・・  ・・・「どんなに辛い時でも、『希望』だけは捨てちゃいけないよ」と・・・  ・・・・・・  「昌太!!今緊急事態宣言なのに何処ほっつき歩いてたの?!」  やはり案の定、昌太に母の雷が落ちた。  「ごめんなさい!お母さん!僕・・・これ摘んできたんだ。」  昌太は、手元の何本かのガーベラを母に手渡した。  「あら?オレンジのガーベラもあるわ。オレンジのガーベラの花言葉は確か・・・  『忍耐』  そうよ!!『忍耐』。  ガーベラの花って、花の色で花言葉がかわるんだってね。」  『忍耐』・・・その昌太はドキッとした。そして、我慢出来なくて散歩に出掛けた自分自信を悔やんだ。  「そうそう。昌太聞いて!お父さんはね。集中治療室で今さっき治療してやっとウイルスが陰性になったから、  後で家に戻って自宅療養だって!!」  「ほんと?!」  母のその言葉に昌太は喜んで反応した。  「でも・・・当分自宅療養なんだよね・・・  まだ完全に新型ウイルスは依然として抜けきってないから昌太はそっと見守ってね・・・そうだわ!」   母は、何かが閃いた。  「このガーベラの花束、お父さんが自宅療養で帰ってきたらお父さんの寝床に飾ろうかしら?」  「うん!僕、花瓶探してくる。」  「きゃん!」  「お父さんが帰ってきたらアンは近寄っちゃ駄目よ。あんたに新型ウイルス感染したら困るでしょ?!」「くうん。」  ~希望の花~  ~fin~  
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