3.恋人の連絡

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ガチャン 洋子さんが事務所のカギを閉めたのを確認して一緒に駐車場へ向かう。 「あんた、ちゃんと一人暮らしできてる?自炊とか掃除とかさ」 「もちろん。何年やってると思ってんの」 「まだたった4年だろ」 おれは色々とあって小さいころから洋子さんの家で育ってきた。 物心つく前から自分の子のように叔母夫婦が育ててくれ、実の親の顔は知らない。 数年前、優しかった叔父が亡くなって、しばらくして洋子さんが立ち上げたのが、おれも高校卒業後に雇ってもらったこの芸能事務所だ。 その後成人したおれは一人暮らしを始めたのだが 今でもこの人は心配をしてくれる。 その優しさを少しくすぐったく思いながらも、心配するなと返答をする。 タレントの移動などに使うおれの車は社用車なので自分の車は持たないおれは洋子さんが愛車である大型バイクを引き出し、身のこなしも軽やかにまたがるのを見守る。 「大丈夫ならまあいいけどさ。また近いうちにウチのほうにおいで。 年取ってからの一人暮らしはさびしいからさ。」 おれが了解の答えを返すと満足げにヘルメットをかぶり 軽く片手をあげてまたがった愛車で去っていく。 遠ざかっていく、革ジャンを羽織った背中。 おれの叔母さん、かっこいい。
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