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そして__走ってこちらに突っ込んできた。
最近衰えを感じつつある反射神経では到底反応しきれず
かろうじてピクリと動いた右足の逃げも虚しく
「うおっっ…うぅ」
おれは金髪の渾身のタックルをくらった。
「…………」
「…………」
タックルしてきた姿勢のままぐりぐりと頭を押し付けてきている金髪。
「……ちょっと、柳さん。」
「…………」
「柳さんってば。どけて。」
「……『柳さん』じゃない」
「……りお、どけて。」
ため息交じりのその言葉を聞いてようやくゆっくりと顔をあげた金髪。もとい、
柳 理央(やなぎ りお)。
職業、モデル。
一番目を引く明るい金髪に全く負けていない整った顔。
鼻筋の通った高い鼻に大きい目、それを縁取る長いまつげ。細い輪郭。
細くても引き締まった体。背も190近くあったと思う。
事務所は違うし隼人より歴は短いが新人の中で人気はトップレベル。
モデルになるために生まれたような完璧な容姿のこの男。
実は
このおれの
…恋人、だったりしちゃうのだ。
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