2.隼人

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2.隼人

隼人の家の前で車を停め、後部座席を振り返る。 「ありゃ、寝てら。」 天使のようなその寝顔に自然と自分の表情が緩むのが分かる。 理央も隼人も間違いなく美形だが系統が全くちがう。 理央がお人形のようだとしたら、隼人は人気漫画の中のヒーローだ。戦隊もののレッドでもいいかもしれない。 おれはそんな西邑隼人という男に心底惚れている。 もちろんマネージメントするモデルとしてであり恋愛感情などはないが それこそ理央と付き合い始めた当初は疑われ続けて正直面倒くさかった。 隼人と出会ったのは今から5年前でお互い20歳のときだった。 おれは19で叔母が経営する芸能事務所に社員として入り、今の今まで働かせてもらっているわけだが、そこへ町でスカウトを受けた隼人がやってきたのだ。 小さな事務所であるが故に怪しさ満点だったであろううちのスカウトについてきてくれた隼人を見た瞬間に衝撃を受けた。 早い話、顔がどタイプだった。 あの日ほどスカウトにあたっていた山崎(同期社員)に感謝したことは無い。 顔はまさに正統派のイケメン。 服装は今どきの若者といった感じだったが、そこかしこにセンスの良さが感じられた。 明るい茶髪も片耳のピアスも下品さは全くない。 話してみれば分かるその快活な性格もおれをベタ惚れさせるには十分すぎた。 すぐに社長である叔母に直談判。 隼人は即採用でおれはそのマネージャーの座を勝ち取った。
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