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2年前
俺たちは魔法を使い冒険や生活をしている。冒険をしている理由は簡単だ魔王と呼ばれる存在がいるからだ。魔王の力はおろそか、使う魔法、スキル、何もわかっていないらしい。勇者と呼ばれる人物を中心に最強と呼ばれる人たちが集まった勇者パーティーが魔王に挑んだそうだが、破れてしまったらしい。勇者達はバラバラに逃げ帰ったそうだ。2年前、最強と呼れる人物が集まったパーティーが魔王戦で敗北した理由は誰も知らない。
ー2年前ー
ある村に2人の人物がよろよろになってやってきた。そして村に入ると同時に倒れた。村の人たちが何事かと集まってきた。1人は青い兜に、鎧を着た男。もう1人は青い髪に青いローブ、青い宝石のついた杖を持っている男。その2人を見て村人の1人が呟いた。
「青の・・・狩り人・・・通称・・・勇者・・パーティー」
その言葉を聞いた途端、集まった村人全員が静まりかえった。その後口々に『青の狩り人』の話を始めた。
「青の狩り人ってあれだよな。全員青色の装備のやつ」
「パーティーリーダーは勇者スキルを持ってるらしいぞ」
「噂では魔王討伐に向かったらしいぞ」
「じゃあなんでここにそんな人たちがいるんだ」
その一言を最後にまた静かになった。全員が同じことを考えたからだ。
「勇者パーティーが【魔王に負けた】」
みんながそう思い固まっている時、村長が言葉を発した。
「とにかく運びましょう。傷を癒さねば」
村長の一言で我に返った村人達は、2人の男を村の看護所へ運んで行った。
ー看護所ー
看護所では2人の治療を終え、目覚めるのを待っている状態であった。
村長が2人を見守りながら近くの木の椅子に腰かけていると、兜と鎧を着ていた男が目を覚ました。男は起き上がると周りを見渡し呟いた。
「ここは・・・」
それを聞いた村長が椅子から立ち上がり、男に近づいていく。そして事情を話し始めた。
「私はこの村の村長のゲインと申します。ここはこの村の看護所です。あなた方がこの村の入り口で倒れられたのでお運びいたしました。」
その直後もう1人の男も目を覚ました。そして先程の男が礼を言った。
「私はロステル。そしてこっちがシークです。我々を助けていただいてありがとうございます」
礼と同時にシークも頭を下げた。そして二人とも何も話さなくなった。
しばらく無言になった後、シークが言葉を発した。
「ゲインさん、少し二人にしてもらえませんか。」
突然のことに村長は驚いたが何かあるのだろうと思い、外へ出ることにした。
村長が外に出たのをロステルが窓から確認した。
「村長はここから出たぞ。二人にしてもらったってことは何か話があるんだな?」
それを聞いたシークは黙ってうなずき、話し始めた。
「ロステル。俺たちは魔王に負けた。最強の魔術師、最強の剣士、それが集まっても魔王には勝てなかった。でも君はまだ強くなれるんだろ?でも俺はもうこれ以上強くなれない。だから俺は考えたんだ。俺たちのパーティーには俺達二人以外に最強の治癒術師、最強の守り人がいる。お前にはあの二人を探して欲しい。俺はあることをしてから他の職業(ジョブ)の最強者を探す。そしてそのメンバーで魔王を倒す。どうかな?」
シークの話を聞き終わったロステルはしばらく黙りこんだ。そして考えがまとまると、話して始めた。
「確かに俺達は勝てなかった。でもどうする。そのメンバーを集めてもどこで集まる。あることとはなんだ。それ次第だ。それが俺ができると判断したら賛成しよう。」
シークは一瞬迷ったような表情をしたが、話した。
「目覚めるまでに2年かかる。だから集合は10年後、王都アクライト。あることとは転生だ。俺のスキルの一つに『転生』というスキルがある。そのスキルを発動する時、魔力が空になり2年眠り続ける。そして俺が選んだもの以外俺のことを忘れる。」
ロステルは目を見開いて驚いた。『転生』というスキルがあること、シークのことを皆が忘れるということ。どれも信じられなかった。ロステルが動揺し、驚いている間にもシークの話は続く。
「俺が選ぶのはザラン、ミライの最強二人。それから中央都市国クワトールの国王ギルテイン。そしてお前だ。ロステル。」
ロステルの手は震え、眉間にしわを寄せて下を向いていた。そして突然怒鳴り出した。
「お前の家族は、友人は、今までの仲間はどうするんだよ。お前を大切に思う奴はたくさんいるだろ!そんな奴らに忘れられていいのかよ!」
その言葉にシークは俯くが、少しすると答えた。
「いいんだよ。魔王は卑劣な奴だ。現にその卑劣な行為によって俺たちは敗北した。今度は俺の家族、友人に手を出すかもしれない。そして皆の記憶から俺を消せば皆は襲われなくなる。絶好の機会なんだ。」
そう言っている間、シークは涙を流していた。その姿を見たロステルは口を開けて驚き、そして覚悟を決め、何も言わずうなずいた。それを見たシークは呪文を唱えた。
「青の鳥よ、我の意思を伝えよ。意思伝達(インテンション)!」
するとシークの手に魔法陣が構築され、その上に青い鳥が現れ、近くの窓から飛んでいった。
そしてシークはロステルに視線を向けた後、部屋を出て、看護所を出て、建物の裏の森へ入っていった。
ー森の中ー
先に行ったシークを追いかけロステルが森に入るとちょうどシークが魔法を使うところだった。
「重力制御(グラビティ)、物質製造(クリエイト)」
地面の一部が飛び出し、それが部屋になっていく。それに驚いていたロステルは我に返り、シークに声をかけた。
「シーク、もう始めるのかい?もっとゆっくりすればいいじゃないか。」
シークはその部屋の前に立ち、答えた。
「ロステル、俺は早く強くなりたい。限界にぶつかってこれ以上強くなれない自分を恨みたい。もう二度と敗北なんて味わいたくない。だから休んでいる暇はないんだ。・・・そうだ。一つ言い忘れていたことがあった。ザランとミライにはもう伝えてある。おれ達の次の目標は『無敗』だ!俺達全員が集まるまで誰にも負けるなよ。」
そう言ったシークは目には涙が浮かび、手を強く握って震えていた。
子供の時から、一緒に遊び、一緒に冒険者になり、パーティーを組んだ。そんなロステルにはわかるのだろう。俺が何を思っているのかが。
そんなことを思っていると、ロステルが口を開いた。
「あたりまえだ!俺ももっと強くなってやる。ザランとミライのことは任せろ。俺が必ず見つける。お前も必ず見つけろよ。シーク、お前と共に過ごした日々は楽しかった。ありがとうな。」
その言葉を聞いたシークはにやりと笑い後ろを向き、中へ歩き始めた。それと同時にロステルも後ろを向き歩き始めた。そして二人同時に叫んだ。
「負けるな相棒。また会う日まで。」
ー次回 転生と神様ー
続く
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