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転生と神様
部屋に入ったシークは呪文を唱えた。
「物質製造(クリエイト)」
部屋の入り口が閉じ、部屋は暗闇にのまれた。シークはすぐには呪文を唱えず、壁に寄りかかり座った。精神を集中させると、部屋が少し明るくなり、小さな玉がたくさん現れる。その瞬間シークは小さな声でつぶやいた。
「我が魔力よ、我が力よ、神の名のもとに限界を超えよ。スキル『転生』発動」
唱えたと同時にシークは意識を失った。そして永続魔法ではない重力制御(グラビティ)に発動が切れ、部屋は地中に沈んでいった。
シークは暗闇の中にいた。沈んでいくような感覚がある。何も見えない。何も聞こえない。その時、誰かの声がした気がした。あたりを見回すが、誰もいない。気のせいかと思った時また声が聞こえた。先程より大きな声が。だが何をいっているのかは聞き取れなかった。もう一度耳を済ませると、今度ははっきり聞こえた。
「唱えよ。開け神の門よ、我は認められし者なり。」
誰の声かわからなかったが、この場所から出るにはこれしかないと思い、唱えた。
「開け神の門よ!我は認められし者なり!」
その瞬間、暗闇が一瞬にして明るくなり、神殿のような建物が目の前に現れた。周りには何もなく、その建物だけがポツンとある。入るしかない。
中へ進んでいくと、大きな扉があった。その扉の前に立つと、突然扉が開き始めた。その中に進むと大小さまざまな大きさの、背中に羽が生え、頭に輪をつけた人々がいた。男に女、マッチョにガリガリ、いろんな人がいる。その人々を見ていると、話しかけてきた。
「我々は神である。よく来たな、魔法使いシーク。」
その言葉に驚き、シークは何も答えることができなかった。
神は苦笑いし、話を続けた。
「そなたが使用した『転生』は、我々が選んだものにのみ与えられる。それは、我々の加護を与えるためだ。なんとしても魔王を倒してくれ。」
そういうと、神々はシークに向けて手を出し、呪文を一人ずつ唱えていった。
「我らの力」
「認めしものに」
「与えることを」
「ここに誓う」
「我らの加護を」
「受け取りたまえ」
唱え終わると、神々の手から光が出て、シークに集まっていく。その光はシークのまわりを円状に回り、徐々にシークの中へ入っていく。全ての光がシークに入った時、シークの頭に沢山の加護の名前、効果が浮かび上がる。そしてあることに気がついたが、何も言わなかった。神々はシークに加護を渡し終わると、体が薄くなり、透き通り始めた。そして神がまた話始めた。
「我々がそなたと話せる時間はもう残り少ないようだ。最後にそなたにこれをやろう。これは神の角笛と言って、一度使うと壊れてしまうが、ここへ転移することができる。要は一度だけここに来ることができるということだ。帰りは私が帰してやるが、よく考えて使うといい。それともう一つ。あの暗闇の中で2年も待つのは退屈だろう。私が時間を飛ばしてやる。時間転移(タイムジャンプ)。これで目覚める日まであと1日だ。」
シークは神から角笛を受け取るとすぐに礼を言った。
「ありがとうございます、神様。必ず魔王を倒してきます!」
そういうと、神様はにっこりと笑い一言呟いて腕を横に振った。
「私はゼウスjr。ゼウスの息子だ。また会おうシーク。」
その瞬間、再び暗くなり、最初と同じようになった。だが、魔王を倒す決意はさらに固くなった。シークは心の中で叫んだ。
「絶対に魔王に勝ってやる。神様に誓ったんだから!」
ー次回 腕試しー
続く
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