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忍びの里
俺は村の人達の墓に手を合わせた。
この街は魔王城を中心とする魔人領、魔力を持たないが忍術を使える忍者がいる忍びの里、魔力を持つ人間がいる帝国領、王国領の四つのうち、王国領にある。ここから一番近いところにいる最強の称号を持つ者は忍びの里にいる。
「決まりだ!目的地は忍びの里!待ってろよ最強の忍び!」
ー森の中ー
シークが忍びの里へ向かって歩き始めて1ヶ月。
シークは森の中を歩いていた。あたりは薄暗く、木々の隙間から所々に光が差している。枝を払い除け、太い木の根をまたぎ、背丈の高い草をかき分けながら進んでいく。
「そろそろ忍びの里につくはずなんだけど、ちょっとゆっくり進みすぎたか?まあいいか、時間はまだある。今日は日も暮れてきたし、ここで休むか。」
シークは近くにあった枝を集め、火属性低級魔法『着火(ライター)』で火をつけ、眠りにつく。
それから数時間後、異様な騒がしさと明るさで、シークは目が覚めた。
「なんだ?もう朝か?にしてもうるさいな〜」
シークは起き上がり、明るい方向へ足を進めた。
草をかき分けると、シークの前に現れたのは、炎が上がっている街だった。
その上空には数匹の魔族、地上には数十匹の魔物がいた。そしてその街は紛れもなく、忍びの里だった。
「これはまずい!最強の者よ死ぬなよ。」
そう言ってシークは忍びの里へと急いで走って行った。
ー忍びの里ー
忍びの里では、入り口付近での、魔物との攻防が、上空の魔族に関しては、手出しができないでいた。街は燃え、人々は逃げ回っていた。そんな中街の中央で一人の青年が声を上げた。
「戦える者は街の入り口へ向かい魔物が街に入らぬよう押さえてくれ!戦えぬ者、女、子供は、地下避難所に速やかに退避してくれ!」
その言葉を聞いた人々は、徐々に冷静さを取り戻していき、自分の行くべき場所へ向かっていった。
その一部始終を見ていた上空にいる「魔族は余計なことを」と怒り、その青年に向かって突撃していった。
青年はみんなに指示を出すのに手一杯だった。魔族がこちらへ向かって来ているのに気づいた頃には手遅れだった。避ける間もなく、魔族の持っている槍が刺さる。そう思い青年は目を瞑った。だが刺さった気配はなく痛みも感じなかった。恐る恐る目を開けると、魔族の体に穴があき、倒れていた。そして魔族と青年の間に、青いローブを纏った男がいた。そしてその男はこう言った。
「きみ、大丈夫か?間に合ってよかった。安心しろ。もう大丈夫だ。」
ー先程ー
忍びの里にたどり着いたシークは光属性中級魔法『光剣(ライトソード)』で魔物を倒しながら里の中へ進んでいく。すると、中央で声を上げていた青年に向かって魔族が突撃していくのが見えた。とっさに、風属性上位魔法『突風(ストーム)』を使い、ものすごい速さで青年に向かっていく。その間にシークは火属性中級魔法『火の玉(ファイアーボール)』を片手に貯めている。
魔族とに距離が近づき、シークは魔族の槍を蹴り飛ばし、青年と魔族の間に入り、貯めていた魔法を魔族に向かって放った。そして青年に言った。
「きみ、大丈夫か?間に合ってよかった。安心しろ。もう大丈夫だ。」
ー次回 おかしな点と理由ー
続く
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