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chapter.1 巻き込まれるお話
時は2020年。
世界は様々な問題を抱えていた。
その中でも最も危ぶまれていた問題がストレスである。
人は皆大なり小なりストレスを抱えている物だが、ここに来て遂にそのストレスが世界を狂わせ始めた。
ストレスによる自殺・喧嘩・暴動・殺人。
今まででも時々社会問題になったりはしていたが、これが増えすぎたのだ。
2倍、3倍どころの話では無い、あまりに突然、それも同時に各国で起こったのだ。
研究者何かしらのウイルスによるものだと発表していた。
暴動や喧嘩の鎮静に当たった警察、果ては軍隊までもが出動する中、至る所でストレスが爆発し、もはや鎮静しようにも母数が多すぎて国も手をつけられ無くなっていた。
これを危うんだ各国首領達が連日会議を繰り返した結果、全世界である法案が可決された。
これが僕の人生を狂わせる事になる…
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時は巻き戻って2019年12月末
俺、立花 柚希(たちばな ゆずき)はクリスマスだというのにする事も無く、家でダラダラとテレビを見ていた。
夕方のこの時間帯は殆どのチャンネルがニュース番組で埋まっており、最近話題の各所で起こっている暴動を取り上げている物が殆どであったが、中には街ゆくカップルを映しているニュース番組もあった。
「最近何かと物騒なのに呑気なもんだ…」
悪態を吐きながら、テレビの電源を消そうとリモコンに手をやった時、2階の自室から物音が聞こえた。
「はぁ…またか…」
2階に上がり自室に入ると幼馴染の
本田葵(ほんだ あおい)がまるで自分の部屋かのように本棚の前で胡座をかきながら、小声で何か喋っている。
「うわぁ…こんな所に………ぴきゃ!?」
後ろに俺が立っている事に気付き何処ぞの黄色い電気ネズミみたいな驚き方をする葵。
その両手には俺の宝物である金髪眼鏡ショートカット物の大人の書物もといエロ本が握られている。
「人の部屋でなにやってんだお前」
もう何度目になるか分からない台詞を吐きながらエロ本を奪い取る。
余談だが葵は小学生の頃からの幼馴染で家は隣、葵の部屋と俺の部屋は窓と窓を境に隣り合わせなので良く部屋に侵入してくる。
そして昔から何処に隠しても必ずと言っていいほど俺のエロ本を見つけ出してはまるで初めて見たかのような初心な反応をしている。
「ちょっと!居るなら言ってよね!」
こいつはどこまで自己中なんだ、と溜息を吐きつつ、慣れたこの日常を楽しんでいた。
これから当たり前の日常が壊れるという事も知らずに。
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時は戻って現在
街は異様な空気に包まれていた。
それもその筈、先日各国首相達の会議によって決まった法案は常軌を逸する物であった。
【人類無差別闘技案】
名前だけ聞いてもピンと来ないだろう、俺もその1人だった。
だが、内容はもっと理解し難い物だった。
国によってある程度違いはある物の、日本に適用されるこの法案をざっくり纏めるとこんな感じだ。
1・半年に1度、無作為に200名の日本国民を選出する。
2・選出された200名からは人権が剥奪され、日本国民では無い事とする。
3・200名を日本国内のどこかにある無人島に集め、バトルロワイヤルを開く。
4・これをドローンや島の各地にある監視カメラを使い日本全国に中継する。
5・これを日本の公営ギャンブルとする。
6・当島において、銃火器の使用を認めると共に、一切の犯罪行為を容認する。
7・半年間生き残ったバトルロワイヤル参加者には、賞金として各10億円を与え、日本国民として再度認められる。
他にも細かい説明はあったが、頭に入って来なかった。
これでこの異常な全国的なストレス爆発が収まるのだろうか。
イカれてる、それ以外の言葉が出て来ない。
最初は批判の嵐だった、連日国会議事堂前で暴動が起こり、鎮静に駆り出された警察官と民衆の間で多数の死者が出た。
だが、政府に抱き込まれたマスコミの擁護報道が続く内にそれも収まり。
次第に以前の日常に戻りつつあった。
それからというもの、余りにも現実的じゃ無い話に戸惑いつつも、俺も普段の生活に戻った。
と言っても正月は殆どコタツで蜜柑を食べながら特番を見て過ごしただけだが。
2020年1月9日
目が覚めると体がやけに痛い…それに断続的に耳を劈く高い音が聞こえる。
15秒程惚けていたが、自分が飛行機の中、それも自衛隊が使うような物々しい飛行機に乗っている事に気が付く。
周りを見渡すと自分以外にも50人ほどの人間が居て、寝ている者、反狂乱になっているも者、少数だが現状を理解して落ち着いている者もいた。
これを見て自分が例の馬鹿げた法案で開かれるバトルロワイヤルに参加させられるのだと理解した。
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