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「ママー、これあげる! 大好きだよ」
あれは、まだ幼稚園に入る前だっただろうか。
散歩の途中、道端の花を摘んで、嬉しそうに私にくれた。
たんぽぽの様に笑う日色の小さな手には、その笑顔の様な可愛らしい、まあるいたんぽぽが握られていた。
「ありがとう、ママも日色が大好きだよ」
これは、彼からの始めてのプレゼントだった。
たんぽぽの花言葉は、真心の愛。
息子がくれる無償の愛を、私は全力で受け止める。
与えるよりも、与えられていたんだと今になって気付く。
幼稚園の年長になると、シロツメクサの冠を「先生から作り方を教えて貰ったんだ」と、自慢げに私の頭に乗せて「ママお姫様みたい」と、たんぽぽの笑顔で笑ってくれた。
シロツメクサの花言葉は、幸福、約束。
この幸福は、いつまでも約束されたものだと、安心しきっていた日々。
あれから20年…
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