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「そ!例えばさ、外見で好きになる人もいれば、内面で好きになる人、趣味が合って好きになる人、話してみて好きになる人…色んな人がいるでしょ?」
「うん」
「それってただのきっかけなんだよね。だから、こうなったから好き。みたいなのは、きっと無いんだよ」
好きの種類は様々…。響くんは、一目惚れしたって言ってたな…。
「琴乃もさ、一回そんなに悩みすぎないで、響くんのことだけ見てみる機会をちゃんと作ってみなよ。その時に全部がわからなくても、私は良いと思うよ」
「咲…」
確かに、響くんのことを考えているようでちゃんと見れていなかった。
いつも引っ張ってくれる彼に身を預けて、委ねて、ちゃんと隣を歩いていなかった。
ふと脳裏を過る笑顔に、胸がきゅうと締め付けられるような気がした。
「…咲、ありがと。私、もっと響くんのこと、知りたい。」
「うん!よく言った!」
身を乗り出して、ポンポンと頭を撫でられる。
どちらからともなく笑ってこれからのことを相談した。
「やっぱりさ、まずはデートでしょ!」
と咲に提案され、確かにと頷いた。
確かにこの数か月ほとんど登下校の道と時々響くんのお家。極たまに我が家に遊びに来るくらいで二人でお出かけすることは無いに等しい。
「うん…!誘ってみるね!!」
-その夜。
善は急げだよ!!!と念押ししてくれた咲の言葉もあり、何より今度は自分から行動してみようと、響くんに電話を掛けた。
これが私からの初電話なのも、問題というか…だよね…
『もしもし琴乃?』
「も、もしもし!響くん今大丈夫…?」
『大丈夫に決まってるだろ?琴乃の声聞けて、嬉しい』
響くんの言葉に、じわじわと頬に熱が集まる。
なんでこう…そういうことを言えちゃうんだこの子は…!!
『それで?琴乃から電話、珍しいけどどうかしたのか?』
「あっ、えっと…今度のお休みって空いてる?」
『ん。空いてる』
よ、良かった…!!
ほっと一呼吸ついて、改めて要件を伝える。
「あのね、その日、一緒に出掛けませんか…?」
う、後半声震えた…。こんなに緊張するものなんだ…。
ドキドキと心音が大きくなって、じっと響くんからの返答を待っていた時だった。
『っあ、…〈ゴトンッ!!!〉』
「!!??」
耳元に大きい音が響いて思わず携帯を耳から遠ざけた。
何事…?!!
先程とは違う意味で心音が大きくなった。
再度、携帯をそっと耳元に寄せる。
「もしもし…?大丈夫?」
『ごめん、大丈夫!ちょっと手が滑った…』
「そ、そっか!携帯大丈夫?」
大丈夫、大丈夫。と何だかから返事した後に、少しだけ間が空いて。
『琴乃、さっきの話さ』
「うん?」
『デートってことで、いいよな?』
「!!!」
改めて聞かれると何だか恥ずかしい様な気が…!
『琴乃?』
「ぅん…うん、デート…です」
震える声でそう答えると、電話の向こうで響くんが優しく笑っているような気がした。
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