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休日明けの月曜日。
「いってきます」
「あら?今日は早いのね?」
「うん。ちょっとね」
いつもより早く家を出る。
あの後眠ってしまい、起きて携帯の電源を入れたら響くんからの数件の着信とメッセージが届いていた。
『月曜日の朝、迎え行くから待ってて』
そのメッセージに驚き、そしてまた逃げたくなって今に至る。
あんな避け方しちゃって朝来られても、合わせる顔がないよ…。
落ち着かない気持ちのまま、少し早歩きに学校へ向かった。
お昼休み。
授業が終わったと同時に机に突っ伏した。
授業中も頭を巡るのは、言わずもがな響くんのことで。
「もう考えたくない…」
「今度は何にセンチメンタルなの?」
前の席に腰を下ろすのは咲。
どうしたー?と私の頭に触れる。
「デートはどうだったの?進展…あったようにもなかったようにも見えるけど。」
「うう…。」
「何悩んでるのか聞いてあげるから、ほら!ごはん!!おかず交換しようよーー!!」
何かを察して、必要以上に問い詰めない咲。
デート企画の時と言い、ほんと、いい親友を持ったなと強く思う。
「うん…食べる。」
-数分後
「ううーーーん、中々の想定外というか…」
「どうしたらいいかわかんない…」
デートの時の話をすると、咲は悩ましい。と言わんばかりの表情に。
「その男子も空気読めてなさすぎだけどね」
「いや…それは、ね…?」
チッと舌打ちする咲をなだめる。
「やっぱり、私がはっきりしないのがいけないと思うから、別れようと思うんだ」
いつまでも響くんの行為に甘えていた結果が招いたことだと思った。
他に好きな人ができたなら、私なんかさっさと放ってそっちに行ってもらったほうが響くんの為にもなる。
そう伝えると、しかめっ面をする咲。
「あのさ、結局琴乃はどう思うの?」
「…え?だから、」
別れようと、と口にする前に何故か鼻をつままれる。
「なに?!」
「私が聞いてるのは、琴乃の気持ちの方。好きなの?嫌いなの?別れる云々は体のいい解決方法で逃げようとしているとしか思えないんだけど?」
「うっ」
心にグサッと刺さる言葉。
「この際、響くんのこともその女の人のことも考えないで。琴乃、琴乃は響くんをどう思うの?ここまで悩んでる理由、わからないの?」
ここまで悩む、理由。
その言葉にハッとする。
あの話を聞いてモヤモヤしたのは、嫌だったからだ。響くんが他の女の人といたことが、いることが嫌だと思ったんだ。
心の奥底で私だけがいいと、思っていた。
私がここまで悩む理由は、それは、そんなの…
「…答え出た?」
「っ!!」
さっきまで悩んでいたのがウソみたいに、顔に熱が集まる。
私の名前を呼んでくれる響くんの顔が思い浮かんで、心がすごく締め付けられる。
何も口に出せずにいると、咲はニッと笑って、
「いい顔してんねー!!もー!羨ましいー!!」
なんて言いながら私の髪を揉みクシャにするのだった。
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