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2※R15くらい
「…ねぇ」
「…」
「…ねぇってば」
「…」
「ちょっと…待ってってばぁ!」
学校を出て腕を引かれたまま歩くこと数分。
途中までは帰路だったのでこのまま帰れるか…?なんて思っていたけれど、途中で道がそれてあ、なんかヤバい。と焦りだし今。
何度も声をかけても足を止めてくれず、手も放してくれず、付いていくことしか許されなくて軽く恐怖。
「ねぇ…っ、怖い」
ポロっと、素直にこぼすとピタリと彼の足が止まった。
そしてくるっとこちらに振り返ると、
「響」
「へ?」
「俺の名前。覚えた?」
なんだ、唐突にと思いつつも有無を言わさぬ真剣な表情に、頷く。
「う、うん。響くん、覚えた」
「なら良し。もう着くから」
とだけ言うと再び歩き出す響くん。
足取りは先程よりもゆっくりに、掴む手は少し優しくなった。
…ん?もう着く?
「どこに?」
「俺んち」
「…え??」
5分もしないうちに響くんの家に着き、そのまま連れ込まれて恐らく響くんの部屋に入ると掴まれていた腕は解放された。
いや、待って何でこんなことになってるんだろう、私はただ弟の忘れ物を取りに行っただけでは…?!!
今置かれている状況を整理しようとしている中、当の響くんは制服のブレザーをハンガーにかけると、ベッドに横になった。
そしてこちらを向いて、自分の隣をポンポン、と叩いた。
「こっち。来て」
「え」
なんで。と聞くより早く「バラしていい?」と言われてしまい、グッと、色々思うところを抑えながら響くんの隣に座った。
「横になってよ」
「いや…流石にそれは…」
人様のベッドだし…と口ごもると一瞬不機嫌そうになった響くんにグイっと、教室の時よりも少し力強く腕を引かれて、結局倒れ込んでしまった。
そして向かい合う形で抱きしめられる。
背中に回った腕が力強くて、頬が響くんの胸元にくっついてしまった。
「ちょっ…!」
「お願い。最近よく寝れないから、枕になって?」
「はい?!」
ま、枕…?!あの、寝るときとかにこう、抱きしめるやつ?!!
「む、むり!しんじゃう!!」
「何言ってんの?そんなことで」
「いや!だって、色々、むり!!」
ものすごい勢いでお断りすると今度は明らかに不満そうな顔をする彼。
いや、でもだって無理でしょ?!!
「なんで。男装のこと、バラしていい?」
「それは絶対ダメ!!!」
「じゃあ何で」
じっと、至近距離で見つめられて思わず顔をそらした。
「だって…し、初対面だし、祐樹の友達だし、ええとええと」
色んな感情が一気に押し寄せてきて、言葉がまとまらなくて、
「えっと、その、お、男の人とくっつくの初めてだから緊張するし、あと……、その、」
「何?」
「ひ、響くんさ、か、かっこいいから、えと、ごめんなさい…困ります…」
最後の方はもう言葉にならない。
自分でも何を言い出したんだと思うことばかりでてきてしまって、顔に熱が集まってくる。
この状況を逃げ出したくて、彼の胸板を押そうと試みる。
しかし
「はぁ‥‥‥‥なんでそんなに…」
「な、何…?」
深めのため息に思わずそちらを伺って顔を向けた。
その刹那、彼の瞳に吸い込まれるみたいに距離が縮まって、口が塞がった。
…塞がった?
「っ?!、んむぅ」
キスされている。
そう気づいて咄嗟に顔を放そうとしたものの先回りした響くんの手に後頭部を抑えられて逃げられなくなる。
「む、むぅっ!ひび…っん」
深くくっついて、離れたと思ったらまたくっついてくる。
初めての感触に息をするのが精一杯になる。
だから気づかなかった。私の脚を響くんの脚が絡めるように拘束し、お腹も脚も胸も、すべてが彼の体とぴったりくっついて簡単には抜け出せなくなっていたことに。
「ん、んん、っはぁ…む」
「キスするときは鼻で息しろよ」
「だ、って急に」
「キスしたことないの?」
少し気まずくて、こくんと首だけ動かして肯定した。
すると、満足したような、優しい瞳の響くんがまた近づいてきて。
「…知ってる」
そう言ってまた私の口を塞いだ。
ーーそれからしばらく、何分かも分からない間、ずっと口と口がくっついたり離れたり、お互いの舌が絡まりあって、溶けるような時間が続いた。
私にとっては未知の体験過ぎて、逃げることも抵抗することもできずに、響くんのなすが儘に体を委ねていた。
心臓のところがそわそわして、お腹の奥の方がきゅんと締め付けられるような、変な感覚がする。
「ふ…かわいい」
「んう…?」
後頭部を抑えていた手は何時しかそこを優しく、子供をあやすように撫でていて心地いい。
背中に回った手は優しく引き寄せていて、それでいて離す気はないような力強さも感じた。
「惚けた顔してんな…そういうの煽るだけなんだけど」
「ん、なに…?」
散々好き勝手していた唇がやっと離れていって、呼吸を整える。
「お姉さんのせいでエロい気分になってきたって話」
「ふえ?」
グリッと。なにか、何か硬いものが、下腹部に押し付けられた。
エロい…気分……
「…っ?!!!!!?!!」
「わかった?」
「ひえっ!!」
にこりと、悪魔の笑顔を浮かべて、また硬いものを押し付けられて、先程までのキスでぼうっとしていた頭が冴え、気が気じゃなくなった。
た、食べられる‥‥!!!!
「ひ、ひび…」
「可愛いな、お姉さん?」
「やっダメ!その、それはダメだからね?!!!」
擦り付けるように何度も押されて、変な気持ちになる。
ただ、何でだろう、すごく拒絶したいようなそんな気持ちはなくて。
恋人でない男女間でこういった行為をしようとしている、ということだけがすごく嫌で。
「なんで?ダメ?」
「だ、だだだっ、ダメに決まってるでしょ?!!」
何?!!最近の若い子ってみんなこうなの?!!(※一個下です)
「何でダメなの?」
「っあ、当たり前でしょ!!!付き合ってるとかじゃないのにっ!」
めちゃくちゃどもりながらも伝えると、なるほど。と考え込む仕草を見せた響くん。
流石に大丈夫だよね…?と様子を伺う。
「そうか、手順はしっかりしたいタイプもいるよな」
「はい?」
何かを納得した様子の響くんがこちらを見て、ふと目が合う。
「じゃあ俺と付き合おう。」
「…はい?!」
「今、彼氏いないだろ?俺も彼女いないし。お姉さんのこと、結構好きだし」
「え?ん??はい???」
「恋人なら、いいんだよな?」
待て待て待て。話の進みが早い。
しかも一切状況が呑み込めない方向に進んでいっている。
「ま、待って何で彼氏いないの知ってるの?!」
「ん、あー…祐樹が言ってた」
あんの愚弟!!!!!
「ま、えっと…知り合って一日も経ってない、よ、ね?」
「お姉さんはそうかもな」
え、何、何だその含みのある言い方は…
さらにこっちの考えをまとめる隙もなく話を進めていく響くん。
「さっき俺のことカッコいいって言ってたから、容姿はクリアだよな。あとは何が足りない?性格?あー、年下はダメとかは受け付けないけどな」
「え、い、いや、あの…」
「体の相性はまだわかんないけど…さっきのキス、気持ちよかったしきっと相性良いから問題ない」
「から?!あ、相性…?!!」
「あとは何?なんでも言っていいよ」
いや、何。とかそういう問題じゃないんだけど…!!
勝手に色々納得してるし、なんかお付き合い確定というか前提というか…話進んでいってるし…!!!
急な情報量にテンパっていると、すっと手を取られて、その手に響くんの口がくっつく。
「俺はお姉さんのこと好きなんだけど。お姉さんは?」
「ひえっ…」
端正な顔立ちでこちらを見られると本当に心臓に悪い。
「や、だって、さっき会ったばっかりだし、好きとか、わからない…っ」
最後まで言い終わるかどうかのところで手のひらを舐められた。
指の付け根のところを響くんの舌が這い、時々チュッと吸われて、体の芯がゾクゾク震える。
そして私の視線を捕らえて離さない彼の目に逃げられなくなる。
「じゃあ今から好きになってもらうから、俺のこと考えてて」
「え、な、何言って…っちょ?!!!」
不意にお腹の辺りが一瞬涼しくなったと思ったと同時に、わき腹の辺りを撫でる感触。
手だ。彼の、響くんの手が服の中に侵入してきている。
「ちょっ、こらっ…!!!」
手を掴んで動きを制するも、後頭部に添えられた手に力が入って引き寄せられた。
「んっ!」
「こらって怒るの、ヤバいから、あんましないで?」
「なに、んん…ふ」
口を口で塞がれて、その感触に力が入らなくなるとそれを見計らったかのようにまた手が動く。
わき腹から背中に回って、つつつ、と背中の窪みに沿うように手が滑って、そのくすぐったいような感覚に身をよじる。
何度か往復した手は脇の下の方をくぐって…胸の膨らみを捕らえた。
「っんぁ…」
「は…ほんと、可愛いな」
ため息とともに零された言葉。
それを拾う前に、下着越しに胸の飾りをキュっと、響くんの指が摘まみ上げた。
「ひあっ!」
ビクッと、体が大きく反応してしまい、戸惑う。
だって知らない、こんな、お腹の下がすごく切なくて、きゅんとする感覚。
自分の口から時折零れる声も自分のものとは思えなくて、何だかすごく怖い。
「や、あっ、やだぁ…」
「何が嫌?」
「う、あ、あっ。や、怖い、んん…」
口が離れて、こちらを伺う響くん。
何がと問われても、怖い、怖いとしか言えなくて、なにかがすごく不安になって、思わずそっと響くんに体を寄せた。
一瞬だけ手の動きが止まったけど、またそっと動く。
「やだ…、怖い、響くんこわい」
「…怖がってるところも可愛いと思うの、不謹慎だよな」
「ふぇ?」
「なんでもない。ほら、キスしたら怖くなくなるよ」
「ンん…」
また口を塞がれてしまって。怖くなくなると言っていたのが暗示かのように、響くんの口と私の口がくっつく度に心が落ち着いていく。
頭の中が、ざわついていた心臓が、きゅうと切ないお腹の奥が、だんだん溶かされていくような感覚。
「ほら、怖くない」
「ん…」
「かわい…怖いじゃなくて、気持ちいい、な」
「んん…あっ」
胸を弄っていた手が下に滑り、尾てい骨の辺りをくすぐるように指先で撫でる。
きゅんっ、と、脚の間のところが締め付けられるような気がした。
「んっ、あ、あ…」
「ほら、気持ちいい。」
「ん、きもちい…っん、あ」
クスッと何故か笑った響くんに首をかしげる。
でも確かに、彼の言う通りで、気持ちいいと思うとすごく心が満たされていく。
声に出すと、もっと満たされる気がして、惚けた頭はうまく働かずにその言葉と体中を這う感触だけを追いかける。
「んっ、きもち、い…」
「~っ…ここまで素直なのは想定外なんだけど」
どこか苦しそうな表情の響くん。
なんだかよくわからないことも度々口にするし、どうしたんだろう?
一応年上の何か、弟と同じ年の子に本能的に思うところがあったんだと思う。
そっと手を伸ばして彼の頭に触れた。
「よしよし…」
ワックスで少し固まった黒髪をそっと撫でる。
ピタッ。と。固まった響くん。
あれ?何かまずかった…?
少し不安になって顔を伺う。
「え…赤、っわあ?!!」
一瞬見えた赤く染まった彼の頬に驚いた直後、がばっと体を起こして私に覆いかぶさる姿勢になった響くんに今度はこちらが驚かされた。
突然の行動に驚き、おまけに両腕を頭の上で拘束されて身動きが取れなくなる。
「何…!」
「今のはアンタが悪いから」
「へ?!」
「ほんとにもう、我慢できない…」
はやく好きになってね。
そう彼の口から零れた言葉と共に、また深く、口を塞がれた。
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