第一幕 序

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第一幕 序

人は何故争うのか。 神から生を与えられ、死を与えられた我々は、言わば生と死を繰り返すだけの有数の人形である。 人形はただそこにいるだけでいい。 時間が経ち、()せて壊れる瞬間を待つだけでいい。 しかし、人はそれを拒んだ。 そう、人にはそれを拒む意思があった。 いや、もしかすれば人形にも意思があるやもしれないが、人には自らの意思を表現するための動く肉体があり、訴えるための声があった。 問題はまた別の話。 人の意思は一つではなく、総ての人が別々の意思を持ってしまった。 小さな考えの違いが次第に膨れ上がり、争いを生む。 人が人である以上、思考をやめることはない。
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