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芽吹く季節は突然に
「じゃあ、またお金入ったら会いに来るね」
「うん、バイバイ!」
背中が遠くなって、やがて人混みに消えた。
「はぁ……」
いい人そうだったけどなぁ。
毎回のことだけど、誰かと別れるといつも虚しさが込み上げてくる。元々ひとりのはずなのに、あんなことした後だと余計に寂しいし、そもそも何やってるんだろう……と胸が苦しくなる。
何をしていてもうまくいく気がしなくて、かといってどこかに逃げてしまうこともできなくて。だから、適当に会えそうな人を探して、少しの時間一緒に過ごして……なのに、結局寂しくなるだけだ。
「いつまで続くんだろ……」
溜息が夜空に溶けて消える。
不満なんてないはずだ。
普通にバイトするよりもよっぽどお金が貰える。うちは裕福とは言えない家だから、こうやって寂しさを癒しながらお金も貰えるなんて、願ってもないことのはずなのに。
「…………、」
苦しかった。
いっそのことこのまま風に吹かれて散ってしまえたらと思っても、そんなの叶いっこない。
なんで、こんなに寂しいんだろう?
なんで、我慢できないんだろう?
ひとりぼっちがこんなに怖いなんて……。
「助けて、」
ふと、口から漏れていた。
助けてくれる人なんているわけない、そんなのわかってる、近付いてくるのは鼻の下を伸ばした人ばっかりなのに、そうじゃない、そんなんじゃなくて、もっと、身体じゃなくて心で関わってよ、誰か……。
「どうかなさいましたか?」
いつの間にか蹲っていたわたしに、誰かが声をかけていた。
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