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「はぁああああああ!」
「っ!とっ!これはちょっと…眠れる騎士を起こしちゃったかなっ…!」
的確に隙を突いてくる鎗。
あわやという所で薙刀でずらしているが、一発当たれば致命傷に成りかねない。
「くっ…!」
そうこうしているうちに、鎗先が脇腹を掠め…強化された鎧の内にじわりと濡れる感覚を覚える。
「…ここは君の勇猛さに免じて退いておこう。行けばいい…兵器となった最愛の人の元へ」
「黙りなさい!」
『ーGuard Ventー』
盾が現れると同時に舞い散る幻惑の羽根。
「…っ!」
それは私と凪川零を分かち、私の姿を隠す。
「逃げるな!」
そう叫ぶ彼女の声を遺し、私は戦場を去った。
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「…次は必ず……!」
怒りの渦が巻く心中は、不意に彼らへの焦燥に切り替わる。
「冬摩さんっ…!」
砕けた壁を抜け、私が見たのは仰向けに倒れた二人の龍騎士と…。
「キング…!」
黒スーツを纏い、薄ら笑いを浮かべる敵の姿だった。
「やあ、凪川零…。感動の再会のところ悪いが、私はコイツを連れ帰らなければならなくてね…」
倒れ伏す黒騎士を軽く足蹴にする蛮族を見た瞬間、私の心は激流に呑まれた。
「その薄汚い足を退けなさい!」
生身の人間だろうが知ったことか。
コイツの手から冬摩刃を取り戻す。
その一心に囚われた私は、突如降り注いだ金色の羽根に弾き飛ばされた。
「っっ!!」
「甘いな…私が何も策を弄せずにここに来ると思うか?」
奴の手には金色の羽根を齎したであろう根源。
「貴様ァァァっ!」
私の絶叫に構わず、奴はそれを構え…。
「変身」
黄金の不死鳥を纏いし十三人目…。
神崎士郎が擁していた最強の騎士、オーディンへと姿を変えた。
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