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「退きなさいっ!!」
剣を振るう。
だが…。
奴が居たはずの所には金色の羽根が舞い散るのみ。
「…!?」
辺りを見回しても居ない。
刹那
「うっ…!」
背に衝撃を受け、火花と共に私の身体は大きくよろける。
「その程度か?」
次の瞬間には、奴は私の眼前から声を発していた。
「ぅああっ!」
転がる身体は、黒龍の体に当たって止まる。
「さあ…そいつを渡してもらおう。」
「彼をどうするつもりですか…!?」
「どうするも何もそいつは私達の“手駒”だ…」
その台詞を聞いた瞬間
動いたのは私ではなかった。
「…取り消せよ、今の言葉」
先刻まで身動ぎもしていなかった城戸真司が立ち上がり、敵に拳を見舞ったのだ。
「城戸…真司…?」
「まだ動けたとは驚いたな…」
「アンタを一発殴りたかった…」
「殴ったうちには入らないがな…」
「ぐおっ!」
オーディンに殴り飛ばされ、転がる城戸真司の身体。
「っ…!!」
私がそれに気を取られた直後。
「コイツは貰っていくぞ」
オーディンと共に淡く金の光を発した黒龍は姿を消した。
「冬摩…さん」
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