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「…ごめん、助けられなかった」
「貴方のせいではありません…私が、弱かったんです」
黙り込む私と城戸真司。既に変身は解いている。
膝から崩れ落ちる私を彼は慌てて支える。
「アンタ…あの黒いライダーを…」
「ええ…助ける為に今までずっと…「あ!れいれいお前勝手に居なくn…おぎゃふ!」
「あ…」
大事な話をしようとした時に限って間の悪い男、耶俥誠司に思い切り右ストレートをかます。
その光景を城戸真司は唖然と、西園寺彩は呆れたように、見るしか無かった。
後ろについてきていた秋山蓮、手塚海之、木村も何が起こったのかという顔をしている。
ーーーーーーややあって、落ち着きを取り戻したものの耶俥の顔はところどころ腫れている。
「ったく、俺が何したっつーんだよ」
腫れたところを擦りながら、こちらに目を向けるのを無視。
取り急ぎ、彼らを元の世界に戻すこと、そして冬摩さんを取り戻すことが私達のやるべき事である。
「オーディンとファム…この2人は運営側の人間って訳ね。みんなで協力して倒しましょう」
「倒すって…!人間なんだろ!?」
自分も被害者だというのに、加害者を倒すという言葉に反対の意を示した城戸真司に西園寺さんが目を向ける。
「博愛主義者もいいけど、今回はそうもいってられないでしょうが…!あなた達と、冬摩くんを無事に脱出させる…最後の一人になった者が、なんて悪趣味なマッチポンプに納得したわけじゃないでしょ?」
「それは…そうだけど…」
そう言われると返す言葉がないのか、城戸真司も黙り込んでしまう。
「…相変わらず甘いな。何の犠牲もなく、この戦いは終わらせられない…死にたきゃ勝手にしろ」
ここで悪態をつくのが秋山蓮という男だ。
この露悪的な所は“私達の知る”秋山蓮も同様なので特に差し挟むことは無い。
「…で?実際どうするんだ?」
木村も言うように向こうの出方も根城も分からないのでは手の打ちようがない。
「……お前は何してんの?」
耶俥のツッコんだ視線の先には手塚海之。
彼はマッチに火をつけ、それを見つめている。
「…奴、オーディンに変身しているのはキングといったな」
「それが?」
「奴らの居場所が見えた」
「「「「「「え?」」」」」」
「俺の占いは当たる」
いやもうそれは超能力のレベルだと思うのですが…。
思ったが口には出さなかった。
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