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______________ 「…随分早かったな。“最後の三日間”の再現は」 「まあ、あくまで今回は実験(テスト)だからだろうな…」 洋館の最上階。 そのテラスの陰から内藤銀(ワタシ)とキングは眼下の喧騒を眺めていた。 「…奴等、生き残ると思うか?」 「…厳しいだろうが、生き残ってもらわなければ張り合いが無いな」 「…言うじゃないか。まるで奴等が全員生き残るのを確信しているようだぞ?」 「全員…全員ねぇ…。」 ほくそ笑む私を見て、キングは苦笑いを返しながら眼下に目を戻すのだった。 ______________ 「…っ!多すぎだろコイツらっ!」 『ーAccel Vent ー』 耶俥さんを覆う加速の波。 蒼く燃え盛る剣を携え、姿を消した彼の遺した轍は数多の雑兵(シアゴースト)を一掃する。 「強キャラは羨ましいわっ!」 『ーAdventー』 左肩に放られた根源(カード)を呼び水に現れる西園寺彩(仮面ライダーガイ)の相棒、メタルゲラスは猪突猛進といえる疾走を見せ、先刻(さき)耶俥誠司(オルタナティブ・ゼロ)超加速(アクセルベント)同様に、モンスターを薙ぎ倒す。 「持ち札が少ないのですからあまり浪費しないでください…!」 そう、西園寺彩(仮面ライダーガイ)手札(カード)はこと、多人数戦においては持ち札が少ない。 特権とも言える無力化(コンファインベント)は対ライダー戦においては無類の効果を発するが、モンスター相手には無用の長物といえよう。 その為、愛機(メタルゲラス)召喚(アドベント)手甲(ストライクベント)必殺技(ファイナルベント)という少ない手札で戦わざるを得ないのだ。 「ああもう!うっとおしいわね!」 彼女もそれを理解しているのか、突然カードを使うことをやめて拳闘家も真っ青なラフファイトをおっぱじめた。 「おーぅ、怖い怖い…!」 鋸刃剣(スラッシュダガー)を振るいながらシアゴーストをあしらう耶俥さんの言葉もよく理解できる。 彼女はまるで、阿修羅だ。
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