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「そんなこと…私は認めません!」
『-Sword Vent-』
黒槍と翼召剣を構え、振り抜く。
「っと…!女の細腕の腕力じゃないぞそれ」
限々で在りながら、余裕に満ちたまま躱されたその二振りの剣。
しかし返し手に操られるまま、それは更なる軌跡を描く。
「ぐっ…!」
僅かに揺らいだその黒衣に軌跡の結果が叩き込まれ、リュウガは鎧から火花を散らして後退した。
「…冬摩さんなら躱していたはずです。貴方はやはり、冬摩さんの力の上澄みを掬ったに過ぎない憐れな鏡像ですね…!」
その言葉による黒龍騎士…否、鏡像の冬摩 刃の変化は劇的だった。
「なんだと…?」
鈍く、紅く、輝く瞳から微かな揺らぎが起こり、次の瞬間奴は私の懐に拳を突き立てていました。
「……!!」
『ーStrike Ventー』
拳に被さるは黒龍の龍頭。
「っあぁぁああああ!」
吹き出す煉獄の炎と共に私の体は
『ーGuard Ventー』
焼かれる前に現出れた漆黒の外套に守られる。
「まだ…!必ず冬摩さんを…!」
「…っとに。咄嗟の判断力が並じゃないなァ!」
狂気を感じさせる声を上げ、黒い手甲を振るうその姿は私の知る優しいあの人のそれではなかった。
「…っあああああ!」
外套の影から黒龍の源に向けて放たれる一閃。
「ちょーっと待った」
「…貴様はっ…!」
それは純白の騎士の細剣に阻まれる。
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