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「それで、私が眠っている間に何かこの世界は変わったのでしょうか……」
カナデは、ひとまず、自分がもといた世界ではなく、またこの世界に自分が残っていることを理解した。そして、自らがこの世界でやるべきことを思い出す。
「女性の意識改革」
カナデはつねづね、異世界転生・転移物の女性の扱いに不満を持っていた。そのため、どんなに話が面白くても、女性の扱いに不満が出て、なかなか物語を本気で楽しめないでいた。そんな自分が転生者となって、異世界にいるのというのなら、やるべきことは一つだった。そのために、まずは情報収集をして、現状を知らなければならない。
「特に変わったことはないな。それにしても、その猫たち、カナデによくなついているな」
「変わっていない……」
エリザベスの言葉にカナデは首をかしげて考える。仮にも一カ月前、カナデたちは魔王を倒そうとしていたのだ。そして、女神と悪魔の戦いも終わりを告げて、魔王も勇者もこの世界からいなくなったはずだった。それなのに変わったことがないとは、いったいどういうことだろうか。
『それもそのはず、魔王と勇者の記憶は、わらわたちが消去したからな』
「えっ!」
「どうした?ホワイト、そんなに鳴いて、お腹でもすいたのか?」
女神である白猫のホワイトが、エリザベスの言葉の補足をするが、エリザベスには白猫がにゃーにゃー鳴いているようにしか聞こえていない。
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