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「あれ、でも私のことは覚えていますよね」
『それは、わらわたちが、お前をこの世界に残しておこうと思って、わざと記憶を残しておいたからだ』
今度は悪魔である黒猫のブラックが女神の説明を補足する。
「変わったことと言えば、彼女たちが自らの故郷に帰ったな。私の護衛をしてもらっていたんだが、この二匹の猫が来てから、護衛はいらないと思えるようになってな。暇を出した」
「護衛……」
『お前が魔王討伐で一緒だったパーティメンバーの女性たちだな。魔王がいなくなった後、エリザベスの護衛をしていたそうだが、わらわたちが追い出した。とはいえ』
「トントン」
話をしていると、扉をノックする音が聞こえた。エリザベスが入れと指示を出すと、扉が静かに開かれ、懐かしい人物と再会することになった。
「ソフィアです。カナデさんが目覚めたと聞きましたので、様子を見に来ました」
「ソフィアさん!あなたも故郷に帰ったのでは」
「私の故郷をカナデさんはご存じですよね。戻ると思いますか?」
「えっと……」
「ソフィアは、私の専属ヒーラーになってくれたのだ。まあ、われが怪我をするようなことがあっては国の一大事だが、いても問題はないとも思って、採用した」
カナデとソフィアの気まずい空気を読んだのか、エリザベスが、ソフィアがここに居る理由を説明する。説明を終えたエリザベスの言葉に、ソフィアはカナデに一礼する。
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