永遠の愛

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永遠の愛

 大学帰りの僕は、繁華街をバイト先のライブハウスに向かって歩いていく。そこで、向こうから歩いてくる一人の女の子に目が止まった。  一瞬視界が狭まったようにまわりが霞み、視線がその女の子にくぎ付けになる。俯きながら、道の端を歩いてくる女の子。銀色の長い髪とブルーの瞳。神秘的な美しさに包まれたその女の子が近づいてくる。そしてそのまま、僕の傍を通り過ぎてゆく。僕は慌てて振り向き、彼女を目で追う。思うが早いか踵を返し、彼女を追って人混みをかき分ける。そして、彼女に近づく。  近づいて、どうする……? でも、ここで声をかけなかったら……。そんな気持ちが先走った。 「あの……」  僕の呼びかけに、振り向く彼女。しばしの沈黙……。頭が真っ白になる……。 「……すみません。人違いでした……」  静かな表情のまま、僕を見据える彼女。吸い込まれそうに美しいブルーの瞳……。 「ご……、ごめん。嘘ついた……、君に声をかけたくて……」  彼女の瞳に嘘がつけなくなって、思わず出た情けない台詞……。僕が自分で声をかけておきながら、パニックになって目を泳がしていると。  クスッ……  彼女が笑った? ……それにしても、なんて綺麗な子なんだろう……。 「あ、その……。なんか、ごめん……」 「なぜ、謝るのですか?」 「だって、突然、嘘ついて声かけて……」  無表情のまま、首をかしげる彼女。 「でも、こんなに沢山の人がいるのに、なぜ、私に声をかけたんですか?」  なんだろう……これって、一目惚れってやつ?…… 「その……、君しか見えなくなっちゃって……」  言葉の続かなくなった僕……。無表情だった彼女が、かすかに微笑んだ。 「あの……名前……聞いてもいい? あ、僕は、……」  僕が名前を告げた後、若干の間があった。 「……私は…… 音葉(おとは)
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