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俺はエグドア・ペンタ・アテネ。元魔王だ。
神人戦争の責任を取るべく自害を試みたが、どうやら転生してしまったようだ。今の姿は、冷酷を身に纏う魔王とは似ても似つかぬスイートなベイビーである。
優しい両親に恵まれた俺はアルテと名付けられ、手塩にかけて育てられているのだが......大問題に直面している。
「アルテ、お腹空いてるでしょ?」
そう言って俺を抱き抱え、恥じらいもなく胸を差し出す我が母、エンプレス・エル。その母乳がとにかく不味い。牛乳をお湯で薄めた味だ。
しかし母乳は生存に必要不可欠である。背は腹に変えられぬ。飲むしかないのだ。
しかし、問題はそこではない。
「帰ったぞー!」
扉が勢いよく開く音に続いて、ガタイのいい男が部屋に入ってきた。その腰にはS級モンスター【煉獄猪】の死体が担がれている。今晩の食料だ。
「あなた、おかえりなさい」
「おう!」
そう、この人こそが我父、エンプレス・ブラファンである。男臭がオーラとして目視できそうな程、男性ホルモンが強い男だ。
一方で顔は美形で整っており、綺麗に切り揃えられた金髪は、繊細さや几帳面であることを暗示している。心理学的にね。
「S級を仕留めるのに5秒もかかってしまった。弱すぎて死にたい......」
「いいのよ、生活できる力があれば」
目に腕を当て泣き真似をするパピーに、マミーは優しく言った。
そのマミーは戦時中、赫の剣聖と呼ばれ、神人戦争では大きな業績を成し遂げた人物だったりする。そして父も、人間軍のリーダーを務め、数多なる魔神を葬った功績がある。
さて、本題に入ろう。これらは問題ではないのだ。純粋な子供の前で熱いキスを交わすこの状況も問題なのだが、それも違う。
この二人、俺の元部下である。
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