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パパとママの仲が悪くなった原因を、僕は知らない。
パパは元々忙しい人だったし、
ママは僕に対して怒ってばっかりだったから、
誰に対してもそうなのかと思ってた。
でもある日、塾から帰ってきた時に、珍しく家にいたパパと、怒った顔をしたママが言ったんだ。
「話がある」
僕は正直お腹も空いていたし、
ご飯を食べたかったけど、
そんな事を言い出したら絶対に怒られるって分かってたから我慢した。
「ねえ、優斗。パパとママ、離婚することにしたから」
離婚の言葉の意味は、小学校2年生の僕だって知っている。
パパとママが夫婦でなくなるって事。
心臓がドキドキして、何も言えなかった。
「それでな、優斗。パパと一緒に来るか、ママと一緒に行くか、選びなさい」
パパはそう言って、笑ったんだ。
なんで笑えるの?
僕はそんな事、考えたくないのに。
パパはパパ。
ママはママ。
どっちも僕を怒るけど、どっちも僕を褒めてくれる人。
僕の家族のはずなのに。
ママは言った。
「ママとこの家で暮らしましょう。そうすれば今まで通り。
苗字は変わるけど、まあそれはいくらでもどうにかなるわ」
パパは言った。
「パパと、パパのおじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らそう。
引越しをしなきゃいけないけど、友達はまた作ればいい」
どっちも、笑ってた、と思う。
いつもの笑った顔とは違って、逆にすごく怖かった。
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