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  「なんで空が青いのよ!」  こんな気分なのにいいお天気だなんて許せない。そう思いながら外に出た。今日は雨の気分だ。だから太陽なんて隠れてればいいのに。  私はちさと。千里って書くからみんなからは「チリ」って呼ばれている。可愛くない高校1年。どこがって、性格が悪い。みんながそう言うんだから間違いない。別にそう思われたからってどうってこと無いし。  見た目は多分普通。肩より長い髪をいつもポニーテールにしてるけど、これは髪が鬱陶しいから。これより短いともっと鬱陶しいし、長いのも鬱陶しい。  姉が、いた。今は父と母と3人。つまんない家族。ぼそぼそ喋る父さん。賑やかだったのがやかましくなった母さん。  4人だったら完璧だったのに、3人になってからすっかり変わってしまった家。  めんどくさい、父さんの顔も母さんの顔も、写真だけになっちゃったチィちゃんの顔も、全部家の中から消えて欲しい。 「ちさと」  母さんの声。せっかくの日曜。ゆっくり出来ないんなら出かけて来ようかな。 「千里、いないの?」  出かけてないんだからいるに決まってるじゃない。母さんはこういう言い方をする。返事の要らない質問みたいな、そんな声かけ。  とんとん 階段を上がって来てドアが開いた。 「いるじゃないの! 返事しなさい」 「なに?」 「そろそろ…… 千鶴の部屋を片付けようと思うの。あのままにしておけないし。何か要るなら持ってって構わないからね」 やかましいはずの母さんの声が後半小さくなった。 「チィちゃんの部屋、なくしちゃうの!?」 「違う…… けどあのままじゃ…… ね、片づけるだけ。欲しいものは避けておいてね」   
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