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まあよい、と女は呟いた。
「私は必ずあの一族を滅ぼす。私の命を脅かす唯一のあの刃を壊す。」
そうすれば、女はまた人々を支配できる。
「恐怖はどんな絆よりも深く。私にかつてない力をもたらしてくれるであろう。」
ああ、と女は水に首を預けた。
流浪の月が空を一人で泳いでいた。
「今宵は実に月が美しいこと。」
女は口元に艶やかな笑みを浮かべた。
着物から泡が吹き、梅の花びらが浮き出た。
鮮血に染まった七つの花びらだった。
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