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魔女の誤算
昔昔、あるところに竹取りの翁と呼ばれるおじいさんがいました。
おじいさんはその名の通り、竹を取ってきて生活をしていた。
「今日は良い竹がないのう…」
おじいさんはいつもの林を歩いて回っていたが、思うよう竹がなく困っていた。
「おじいさん、あっちの森に良い竹がありますよ」
そう声を掛けられて振り向いたおじいさん。
「どなたか知りませんがご親切に………!」
驚くのに大分時間が掛かった。
「あなた様は!?」
「私は女神ヘルメースと申します」
ヘルメースは宙に浮き、後光が眩しかった。
「女神様ですか?ありがとうございます」
おじいさんは一礼すると、すたすたと森へ歩いて行く。
「あの……私の出番はこれだけ?」
女神は寂しそうに去って行った。
おじいさんは森に入ると竹を探したが、そこは茨の森で竹は見当たらなかった。
「なんじゃ、竹はもっと奥なのか?」
おじいさんは森の奥へ進んだ。
おじいさんの目の前にお菓子の家が現れた。
「なんじゃ?この甘い匂いがする家は?
こんな森の中で誰か住んでるのか?」
おじいさんは洋菓子を見た事がなかったので、お菓子の家とは思わなかった。
「ごめんください
この辺りに竹は生えてないかのう?」
おじいさんは扉を開けて挨拶したが誰も答えなかった。
しかし、おじいさんは女性が寝ているのを発見する。
「なんだ、寝ているのか?」
おじいさんが声を掛けると…。
「ふわぁ~…よく寝たわ…
あら?…私はオーロラ、貴方が私の王子様?」
「おーろらさん?どこかのお姫様か?」
オーロラ姫は眠気眼を擦り、改めておじいさんを見て驚いた。
「まあ、大変!寝すぎて王子様がお爺様になってしまったわ!」
オーロラ姫は、責任を感じておじいさんの介護をして暮らしました。
めでたし、めでたし。
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