就活

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昔昔、ある橋に牛若丸がいました。 「私を家来にして下さい」 体の大きな武蔵坊弁慶が、自分より小さく華奢な牛若丸に頭を下げていた。 「うん、良いよ」 牛若丸は軽く許可すると弁慶はスキップしながら去っていった。 「もう少し強い奴、いないのかな?」 牛若丸は橋に欄干に座って風に当たっていた。 「なんじゃ?お主、強い奴と戦いたいのか?」 一人の老人が牛若丸に声を掛けた。 「じいさん、誰か知らないか?」 「そうじゃな、儂が相手してやろうか?」 老人はやたらと上から物を言った。 「じいさんじゃあ、相手にならないよ」 牛若丸はちょっとムカついている。 「そうじゃな、お主じゃ儂の相手にならんな」 「何だと、ジジィ! そこまで言うなら相手になってやるよ 死んでも恨むなよ」 遂にキレた牛若丸、老人に向かって刀を抜いた。 「若いのう… どれ、掛かってきなさい」 老人は余裕綽々で牛若丸を煽った。 牛若丸は八艘飛びよろしく欄干から欄干に飛び移り、老人の背後から斬りかかった。 「てやぁ!」 一刀両断……かと思いきや、老人の姿は無く牛若丸は焦った。 「!、何処だ!」 老人は牛若丸が飛び立った欄干の上に立っていた。 「まだまだじゃな そんな腕では、鬼は斬れんぞ」 「く、…悔しいが、俺の敗けだ じいさん、さぞかし名のある剣豪なんだろ?」 牛若丸はガックリと膝を着いていた。 「儂か?儂は桃太郎じゃ」 老人は名乗ると颯爽と帰っていった。 残った牛若丸は…。 「…桃太郎?って誰?」 首を傾げました。 めでたし、めでたし?
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